【ご質問】
ひとつお聞きしたいのですが、私は以前から朱色のカイラギはないのだろうか?
炭が焼けていくと表面が白く中が朱色にゆらぐ、あの心が安らぎホットする表情をもつ器にめぐりあいたと、常々思いつづけております。
朱色のカイラギというのはできるのでしょうか?
もし朱色のカイラギがございましたら、紹介いただけないでしょうか。

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【萩原啓蔵から】

 日本で天下一の名碗と評価されているのが、国宝の喜左ヱ門井戸茶碗と云われています。
昔、朝鮮半島からもたらされた、この茶碗は「高麗茶碗」として、茶人にもてはやされたもので、特に、枇杷色(びわいろ)のくすんだ渋い色感の貫入(カンニュウ・ひびのこと)と、高台まわりの梅華皮(カイラギ)が水玉のように飛び散った凄みのある美しさがあふれています。
 さてご質問の朱色の梅華皮(カイラギ)ですが、天下一といわれている茶碗でさえも、上記のように渋い色しか出せないのが現状です。
これは、原料が土石であるために、明るい色が出し難いのです。例えば真っ赤な土であっても、茶色にしか出ません。発色としては、このように白、黒、茶、灰色、灰黄色程度までです。
 
 逆に白い色の梅華皮(カイラギ)が出る土石に、上から朱色釉をかけてしまうと今度は梅華皮(カイラギ)そのものが出なくなります。
と言うことで、朱色の梅華皮(カイラギ)というのは不可能と思います。
 しかしながら私としても、地元の土石を使っての研究を今後も続けてさまざまな表情を持つ梅華皮(カイラギ)を産みだしていきたいと思っております。

                     



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