ぐい呑み、酒器、抹茶茶碗、湯のみ、片口鉢、作家 萩原啓蔵 の陶芸作品をご紹介しています。
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「 陶芸家雑感(エッセイ) 」 に関する記事一覧

【032】仮装大賞を観て

 先日の仮装大賞というTV番組で、見事大賞を射止めた女子中学生5人のアイディアに感心しました。
舞台での発表時間はわずか数分の短い間ですがボールとボールの影をうまくかみ合わせた簡単な動作なのです。
バレーボールを床に手まりのようにつき壁にぶつけると、黒い影の板がボールのリズムにあわせて同じように動き出し、ゆっくりつくとゆっくりと速くつくと速く動く、影法師のような影がとても不思議でした。
ゴムのばねなのか?巻尺の巻き取り、または掃除機のコードリール用のゼンマイなのかその仕組みが私には今もってわかりません。

 このような感動は陶芸でも大事だと思いました。
それは面白い造形、見たこともない装飾法など…どうやって作ったのだろうか、どんな道具を使ったのだろうか、と見る人に考えさせるような作品が、感動につながるような気がするからです。
アイディアは一朝一夕にしてできるものではなくて、毎日の努力の積み重ね、常に新しいものを考え取り入れる姿勢からヒントとして浮かびあがるものではないだろうかとも感じます。

【031】上野原縄文の森

今回は陶芸の話から離れて、すこし鹿児島の話題を書いてみたいと思います。

 鹿児島空港の隣にある国分市で5年前工業団地の造成中に9,500年前の縄文早期定住跡が発見されました。青森の三内丸遺跡などと同じく国内最大、最古級の遺跡が確認されたのです。
IT産業不況も深刻化している中での朗報に、光明を見出したという感じがします。

 日本の歴史観を塗り替える遺跡発見で地域活性化のために活用法なども課題が残されてはいますが、鹿児島県では巨額を投じて「上野原縄文の森」に展示館や保存館などを備えた大規模な施設を作りました。
現在「縄文の森」には縄文人の住居や生活状態を再現して火を起こしたり粘土で縄文土器を作ったりすることができる実習コーナーも設けられているとのことです。
特に次世代を担う子供たちのためにも、実際の体験を通じて、歴史に触れるということは、価値あることだと感じます。

 鹿児島空港からも近く、JR国分駅からは毎日5往復の運行バスもあり、アクセスも便利です。また近くには、霧島温泉もあります。一度ぜひ鹿児島にいらして、訪れてみてはいかがでしょうか。

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*上野原縄文の森

【030】鹿児島の地から

鹿児島の地から4

鹿児島の中でも当地方で二十年前、陶芸をする者は私だけでしたが、ここ数年の間に多くの方たちが陶芸の窯を持つほどになりました。
これは各市町村が住民向上、豊かな人づくりのためと、こぞって陶芸教室に力を入れたこと、発表の場として身近な陶芸ギャラリーが増えたことにもよります。とてもよろこばしいことだと思います。

 また、県中央での美術展も年間を通して数回あることから地方の陶芸人口も増え関心も高まり、美意識の向上にもつながるものと思われます。
鹿児島空港の二階ロビーにも空港ギャラリーがあり飛行機の発着待ち時間を利用して鑑賞することができます。
鹿児島で活躍する美術工芸家の発表の場として利用されていますが、現在ではあまりにも展示希望者が多く、申し込んでも二年半はかかるという好評ぶりだそうです。癒しを与えてくれるギャラリーの存在意識は一段と高まりそうだと新聞でも報道されていました。

 作品を作る者としてこのような「意識の高さ」はとてもうれしく思います。
美しいものに触れ、感動し自分でも作る喜びは何にもかえがたい。
また、同時に感動を与えられる作品を作りたい。そのためにもこれからも日々前進がんばりたいものです。

【029】人間・猿の創造性

 先日「ビール酵母菌を求めて」というテレビ番組を観ました。
200回に及ぶ実験で、もう駄目だと諦めていた時、最後の物に僅かな泡を発見する…それが成功に繋がったという映像が写されていました。

 やきものの釉薬作りも同じことで、何回も実験を繰り返し、もうこれでやめようと諦めた頃に偶然よいものが出るものです。思い出しては作り、やめてはまた作り、失敗を繰り返しながらも「諦めないこと」が成功に繋がるように思います。

 また、別の番組で観た「猿の知恵」の創造性にも感服しました。
空中に釣らされたバナナをなんとか得ようと工夫をこらしながら挑戦する姿にもしかして猿は人間よりはるかに創造性があるのではないかとも思った次第です。

 不可能と思ったことでも諦めずに、なんとか工夫して手に入れようと努力したり、どうしたらいいのか?と知恵を出したりすること、それが創造性につながるのかもしれません。

【028】誰が作者か?

 陶芸展の出品作品は通常、個人それぞれが、造形、素焼き、釉薬掛け、本焼き…とひとつの仕上げていきます。そして当然、その本人が作品の「作者」となります。

 けれども組織の中での創作の場合はどうでしょうか。

粘土で造形する人、表面に装飾の絵を描く人、その上に釉薬を掛ける人、窯に入れて焼成する人、と分業で仕事をこなします。
この場合、いったい誰が「作者」なのだろうか?と疑問に思ったことがあり以前、私はこの疑問を審査員の方に伺ったことがあります。
「陶芸展の出品作品は装飾美が基準となるので最後に作品に絵を描き仕上げた人が作者となる」との見解でした。
 もちろん、審査員の基準や見解はそれぞれの陶芸展で違うのかもしれませんが、いろいろな分野で分業化が進んでいる今、むずかしい問題だなあ、と感じたのでした。

【027】病院の薬と陶芸の釉薬

 一日中作陶を続けていると運動不足になり便秘がちになります。

 先日病院でももらった便秘薬が「酸化マグネシア」でした。この薬は陶芸の釉薬でも使用され、黒色、紺色、紫色のマット(ツヤ消)釉の媒溶剤として混合すると綺麗な色が作れます。
またレントゲンを写す時に飲む「バリウム」も、緑色を作る時に石灰と合わせて使用すると黄緑色のきれいな色彩が得られます。同じく、皮膚病の塗り薬として使われる「亜鉛華」も空色の釉薬を作る時に必要な材料なのです。

 そして釉薬の元になる長石を溶かす時に木灰、石灰、酸化マグネシア、酸化バリウム、塗り薬に使う亜鉛華、などを単味にまたは2,3種類混合することでいい釉薬を作ることができます。
普段私たちが何気なく飲んでいる薬が釉薬として使用できるなんて、面白いものですね。

 私は、いろいろなものに興味をもって常にアンテナをはりめぐらせる…ことが大切だと思います。例えば病院の薬をもらう時に、薬品名に気をつけて見るというのも新しい発見の糸口になるかもしれません。
こうして色々な材料を使って試行錯誤しながら日夜努力して各人なりの釉薬を作るべきだと思います。
「人に教えてもらおう。説明して欲しい。」とか「(誰かが作った)釉薬を使わせてもらおう。」と簡単に考える前に、自分だけの釉薬を作り出すよう、がんばってみてください。

【026】陶芸展出品をめざすみなさんへ

 春の陶芸展が近づいてきました。
 出品者の皆さん、準備はできたでしょうか?
春の出品物の多くは、冬に創作することになりますが、正月ボケ、寒波襲来転勤等が重なり、出品準備がなかなか思うように進まないものです。

 出品を考えるのでしたら、前年の陶芸展などを見て感動の冷めやらぬうちに作陶を始めるのがベストでしょう。
出品の期限が迫ってきては気ばかりあせり、手は進まず寒さと共に失敗をくりかえします。

 時間的にも気持ちにも余裕を持ってぜひ臨んでください。
五感のリズムが自然に動き出した時に生み出される作品には、勢いがあるはずです。
それから入賞することよりも、新しいアイディアと創造力豊かな作品をめざしてください。それこそが、きっと多くの方々に感動をしてもらえる作品になるはずです。がんばってください。

【025】卒業式と金メダル

 少し古い話になりますが、卒業式の迫った2月、小学校6年生担任のM先生から「卒業記念に心のこもった手作りの品を子供達にプレゼントをしたいのですが焼物で何を作ったらいいでしょうか?」との相談を受けました。時間な余裕があれば珈琲カップ等でもいいのでしょうが、30数名の子供達の分を作るのも大変だし、それなら「手作りの金メダルは?」と提案しました。私がこれだけは1番だと胸を張って金メダルを胸にかけ喜ぶ子ども達の姿を想像したからです。

 従来の学校では「成績のいい人」が上位で縦並びの評価を受け、本来人間として一番大事な「埋もれているその人のよさ、持っている特技、能力」が陽の目を見ることなく卒業していきます。みんなが「自分の持っている誰にも負けないなにか」持っているのにもかかわらず、です。

 M先生は早速子供達に「誰にも負けないこれだけは自分が1番」ということを作文に書いてもらいました。かねておとなしい目立たない子、元気な子・・・それぞれが自信に満ちた、木登り、ピアノ、マラソン、朝起き等々を書いていて、作文を通じてひとりひとりをあらためて知ったそうです。

 先生は、子供達のために、校章入りのメダルを粘土で作り、裏にそれぞれの名前と特技1番を彫り焼き上げたのちに金のスプレーで仕上げました。
卒業式の当日、紅白のテープのかかった金メダルを一人一人の首にかけ、ほめてあげたそうです。それには、子どもはもちろんのこと親も、感激したそうです。また校長先生をはじめ並み居る皆さんからこのアイディアを高く評価され喜ばれたそうです。

それを聞いて私は、子ども達(もう大人になっているかもしれませんが)に自信や喜びが刻まれたことだろう、と思いました。
 どんな子ども達にも、可能性がある。教育者はそれこそを子ども達に教えてあげて欲しい、伝えてあげて欲しいと思います。
 M先生はその後、地方の校長先生となり陶芸を中心に地域の文化活動をがんばっています。

【024】陶芸を始める季節

 陶芸を始める方は、春から夏にかけて・・・というのが一番やり易いと思います。

冬は粘土が冷たくて乾きにくく、作品を作っても夜間に冷えるので何らかの方法で温めておかないといけません。もし凍らしてしまうと太陽が昇る頃にはせっかくの作品もくずれてしまいます。
特に大型の作品となると夜間の保護が大切で電気毛布で囲ったり、コタツの弱熱で暖めたりします。

 粘土は摂氏18度前後であればバクテリアの繁殖が旺盛で粘り気もよく作り易いのですが気温が下がると粘土のバクテリアが死滅して作りにくくなります。
数年前の話ですが、運び込まれた粘土を土間の上に置き、凍らせないように毛布を掛けておき、春になってその粘土を取り出したところ、冬の間かぶせてあった毛布がボロボロになっていたことがあります。
その時、バクテリアのすごさを実感しました。温度と湿度があればバクテリアの繁殖も盛んになるのです。

 春に開催される陶芸展に出品される場合には12月中の気温がさがらないうちに素焼きを済ませる心構えが必要です。1月や2月に作り出しては、遅れをとりあせるばかりで良いものは作れません。
やはり何をするにも「早め早めの取り掛かりと、準備を怠らないこと」が必要ということです。

【023】幸福の道しるべ

 新年明けましておめでとうございます。

今回は少し陶芸を離れて、柔らかな話題について書いてみたいと思います。
仕事を成功させるには素質と努力だけではなく「運がある」もおおきな影響力があるのではないかと思います。
勝負の世界でも、練習時には上出来だったことが本番には全くその実力が発揮できず涙をのむこともしばしばあります。一生懸命努力したにもかかわらず残念な結果を招いたといことは良運にめぐまれなかったからでしょう。

この様に書くとみなさんは一笑に付すことでしょうが、私は「運の大半は生まれた時に授かった名前にある」と考えています。
私は陶芸の傍ら「名前の画数によって運勢が支配されるのではないか?」という疑問を抱き、姓名学を独学で勉強してして20数年になります。
新聞等に掲載される名前を姓名判断してみると、いい意味においても悪い意味においても「名前の画数が運勢や運命を左右する」という事実を、日々実感するのです。

 姓名判断は「悪い結果を悲観する」ためにあるのではなく「判断内容を意識する」ことによって「大難を小難にくいとめる」ことだと思います。
「前もって注意するための道しるべ」かもしれません。
そしてその上で「努力をおこたることなく、自らの力で幸福を克ちとっていって欲しい」と思うのです。








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