啓蔵ぐい呑み 水青流
啓蔵ぐい呑み 水青流
ある日、一人の男が旅をしていた。その男はすでに『 枯水』の状態だった。とにかく水が欲しくてひたすら歩いた。

すると、前方に白い泡『白泡』を発見した。あそこだったら水があるかもしれない!その男は『白泡』を目指して歩いた。


『白泡』の傍まで近づいてみると、そこには『蒼だるま』がいた。『蒼だるま』は何も言わずに樽一杯の水を差し出した。男はがむしゃらにその水を飲んだ。

『蒼だるま』は「君は一人で旅をしているのかい?一人旅は何かと大変だろうから、私の兄である『紋跡』を旅のお供にするが良い。」と言って、その場から消えた。

数分後、突然白い泡の中から、全身カイラギの『紋跡』が出てきて、「弟から話は聞いた。私が一緒について行こう。何かの役に立てるかもしれないから。」

それから、2人で旅を続けた。そして・・ついに『宇宙』に到達した。

『紋跡』は『お前を『宇宙』まで導く事が私の役目。ここから先はこの船を使って一人で行け。』そう言うと、『紋跡』は、楕円形の『薄色の皿』という名の船を与えるとその場から去った。


時が経ち・・『息吹』の季節になった。旅を続ける事30年。ついに男は『有が田や (*) 』という不思議な館に辿り着いた。

そこにはたくさんの扉があった。扉の向こうには未知の世界が待っているに違いない!

男は複数ある扉の中から『水青流』という扉をノックした・・。

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男が『水青流』という扉をノックすると、「どうぞ」と声がしたので扉を開いた。


すると、そこには何とも不思議な格好をした人物(?)がいたのだ!
重量感がありそうな水色のマントを身にまとっているのだが、所々、破れたようになっていて、黒とも茶色とも形容しがたい肌が見える・・。

あまりにも凄まじい『水青流』の姿に呆然とした。

男は思った・・“この人は今までどんな歴史を生きてきたのだろう。私は旅の途中、喉の渇きを必死でこらえてきたが『水青流』さんに比べれば我慢の内には入らないのではないか・・と。

『水青流』は男に向かって「私に何か用があったのではないのか?」と質問をした。

男は、心を落ち着けて、これまでの旅の経緯を説明した。『水青流』は男の話に黙って耳を傾けた。
『水青流』は男が話し終わるのを待ってから、静かに口を開いた。

「君はここに辿り着くまで、大変な旅をしてきたようだね。さあ、ここで旅の疲れを取るが良い。
水はたくさんあるぞ。何と言っても『青』い『水』が『流』れる場所なのだから。」


そう言うと、『水青流』は至る所に滝や川を作った。
こうして・・男は清流の世界で暮らし始めたのだった。
(熊本県 M様)


(店長)M様からご注文があった際に、上記の物語の前半部分が送られてきました。そして「*この物語の結末は『水青流』到着後です♪」と書かれてありましたが、拝見して、なるほどぉ…とびっくりしてしまいました。
啓蔵作品の物語だなんて、すばらしい発想をされるなあと思います。ひとつひとつ、作品を思い出すのも楽しいものですね。私も久しぶりに昔の作品のページを眺めました。
M様、本当に素敵な企画をありがとうございました。


(*)有が田やは 2009年10月10日に閉店いたしました。
   現在はこちらで有が田やを引き継ぎ、啓蔵作品を販売いたしております。


                     



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