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【036】シラスと釉薬

シラス 釉薬  火山の噴出物が数千年にわたり風化したのがシラスで鹿児島県の半分はそのシラスによって覆われています。

無尽蔵の火山噴出物を利用していろいろな物が作り出され未利用資源が次々と新しい商品に生まれ変わりつつあります。
特にシラスに含まれるシラスバルーン物質が研磨剤として広く使われ油よごれの磨き粉から日本が誇る光学レンズの研磨まで一役買っているのです。
そればかりか水に浮くセメント製品建築用の外装-塗料 人工宝石等々….研究が進んで陶芸でも釉薬を作るのにシラスを利用しております。
カイラギ、ユズ肌釉は勿論のことどんな色釉でも作り出せます。比重が軽くキメが細かくシラス単品でも釉薬に利用でき使い易いのが何よりです。

一例をあげますと
乳濁釉は 「長石30+土灰30+ワラ灰40」 が基本ですが 
シラス乳濁釉は 「シラス30+土灰20+ワラ灰40+骨灰10」 が良好です。

何故骨灰を入れるかというと、シラスの中に微量の黒浜(砂鉄)が入っているのでそのまま焼くと(1240度~1250度)黄味を帯びますが骨灰を入れることによってピンク色に発色させることができます。(ツヤ有り)

ツヤ消し釉の場合は 「シラス30+土灰30+カオリン30+硅石10」 で良いのですがより白く乳濁させたい場合には「亜鉛華」または「ジルコンチタン」などを4%くらい入れます。

溶材として「バリューム」「マグネシア」「亜鉛華」「石灰」等を変えることで発色が違ってきます。
釉薬の研究で試作品を作って比較しながら良いものを見つけ出している試行錯誤の毎日です。大変な作業ではありますが、新しい発見をするために没頭することは、充実した時間でもあります。
現在、めずらしい釉、カイラギ、虫喰い、ユズ肌等、納得できるサンプルは30種類ほどになりました。いつかこの釉薬を使った作品を発表したいと考えております。

乳濁釉虫喰い


【033】鹿児島の”黒”

黒

鹿児島の地場産品には「黒」が本当に多い。「黒砂糖」「黒酢」「黒牛」「黒豚」「黒糖焼酎」「黒ごま」「大島紬の泥染の黒」と、いずれもよそに誇れる産品ばかりで、黒潮が県土を洗う鹿児島はとても豊かな海の色でもあり円熟した色でもあるような気がします。

 そして伝統産業の焼き物の中にも「黒薩摩」「黒ヂョカ」をはじめとする多くの黒物があり、これらの釉薬も火山地帯から産出する資源から作り出されているのです。

 「シラス」と呼ばれる「火山から噴出した火山灰火山れきが200万年以前に堆積した」ものは南九州全体に分布しています。
「シラス」とは多くの穴を持ったガラスという意味で、穴の大きさは1ミリの百万分の1から千分の1ほどで電子顕微鏡でしか見ることができません。
最近では、新資源として価値あるものに変えようとしています。
建材や塗料、除菌フィルター、血液のろ過材等々….

 無尽蔵にあるシラスから陶芸用の釉薬も作れます。例えば白色のマットから緑、空(そら)、黒、赤、そば釉など。それらは、しっとりしたマット釉で、長く使用しなくても沈殿しにくい使い易い釉薬です。そして
実は私が研究しているカイラギ釉もこの材料がないと作れないのです。
この鹿児島の「自然の恵み」で名産の黒を作り出せたらと、これからも日々研究を続けていきたいと思っております。









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