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「 釉薬 」 に関する記事一覧


【037】 「ユズ黒釉」と「ブルーの釉」

 寒い冬は作陶する人にとって水が冷たくいやですが、また同じくこの夏の暑さもいやなものですね。

 今朝は偶然午前2時に目が覚めましたので真夜中に仕事を始めましたが、朝の6時ごろまでに平常の1日分の仕事が効率よく出来ました。
静寂な仕事場での作業はちょっと寂しい気分にもなりますが、昼間の暑さから解放され涼しさの中で仕事に集中できることが何よりです。暑い時期は無理をしないで夜行性動物になることも必要かなーと思いました。

 作陶(物作り)というのは「集中力」がないとなかなかいい作品ができません。雑念を払拭してロクロに向かい手を動かすことが肝要です。今朝の真夜中の作業はそういった意味でもそれなりの成果が得られたような気がします。


直径が約30cmの大皿
 

現在、できあがり直径が約30cmの大皿を作陶しています。

かける釉薬は今回考え出した「ユズ黒釉」に「ブルーの釉」の深い味わいのコントラストに仕上げたいと頭の中でその焼き上がりを思い描いています。
「ユズ黒釉」というのは、見た目には表面がざらざらに見えますが、実際は肌触りがとても滑らかで格調高い釉薬のひとつです。

またカイラギ釉と同系統のもので、材料は鹿児島県に産するものを使います。
作陶にあたっては、できるだけ地元の資源を活用して今後もいい作品を目指していきたいと思っています。


030730
「かごしま県民交流センター」2Fロビーに啓蔵作品の「壷」が展示されています。


【036】シラスと釉薬

シラス 釉薬  火山の噴出物が数千年にわたり風化したのがシラスで鹿児島県の半分はそのシラスによって覆われています。

無尽蔵の火山噴出物を利用していろいろな物が作り出され未利用資源が次々と新しい商品に生まれ変わりつつあります。
特にシラスに含まれるシラスバルーン物質が研磨剤として広く使われ油よごれの磨き粉から日本が誇る光学レンズの研磨まで一役買っているのです。
そればかりか水に浮くセメント製品建築用の外装-塗料 人工宝石等々….研究が進んで陶芸でも釉薬を作るのにシラスを利用しております。
カイラギ、ユズ肌釉は勿論のことどんな色釉でも作り出せます。比重が軽くキメが細かくシラス単品でも釉薬に利用でき使い易いのが何よりです。

一例をあげますと
乳濁釉は 「長石30+土灰30+ワラ灰40」 が基本ですが 
シラス乳濁釉は 「シラス30+土灰20+ワラ灰40+骨灰10」 が良好です。

何故骨灰を入れるかというと、シラスの中に微量の黒浜(砂鉄)が入っているのでそのまま焼くと(1240度~1250度)黄味を帯びますが骨灰を入れることによってピンク色に発色させることができます。(ツヤ有り)

ツヤ消し釉の場合は 「シラス30+土灰30+カオリン30+硅石10」 で良いのですがより白く乳濁させたい場合には「亜鉛華」または「ジルコンチタン」などを4%くらい入れます。

溶材として「バリューム」「マグネシア」「亜鉛華」「石灰」等を変えることで発色が違ってきます。
釉薬の研究で試作品を作って比較しながら良いものを見つけ出している試行錯誤の毎日です。大変な作業ではありますが、新しい発見をするために没頭することは、充実した時間でもあります。
現在、めずらしい釉、カイラギ、虫喰い、ユズ肌等、納得できるサンプルは30種類ほどになりました。いつかこの釉薬を使った作品を発表したいと考えております。

乳濁釉虫喰い


【033】鹿児島の”黒”

黒

鹿児島の地場産品には「黒」が本当に多い。「黒砂糖」「黒酢」「黒牛」「黒豚」「黒糖焼酎」「黒ごま」「大島紬の泥染の黒」と、いずれもよそに誇れる産品ばかりで、黒潮が県土を洗う鹿児島はとても豊かな海の色でもあり円熟した色でもあるような気がします。

 そして伝統産業の焼き物の中にも「黒薩摩」「黒ヂョカ」をはじめとする多くの黒物があり、これらの釉薬も火山地帯から産出する資源から作り出されているのです。

 「シラス」と呼ばれる「火山から噴出した火山灰火山れきが200万年以前に堆積した」ものは南九州全体に分布しています。
「シラス」とは多くの穴を持ったガラスという意味で、穴の大きさは1ミリの百万分の1から千分の1ほどで電子顕微鏡でしか見ることができません。
最近では、新資源として価値あるものに変えようとしています。
建材や塗料、除菌フィルター、血液のろ過材等々….

 無尽蔵にあるシラスから陶芸用の釉薬も作れます。例えば白色のマットから緑、空(そら)、黒、赤、そば釉など。それらは、しっとりしたマット釉で、長く使用しなくても沈殿しにくい使い易い釉薬です。そして
実は私が研究しているカイラギ釉もこの材料がないと作れないのです。
この鹿児島の「自然の恵み」で名産の黒を作り出せたらと、これからも日々研究を続けていきたいと思っております。



【027】病院の薬と陶芸の釉薬

 一日中作陶を続けていると運動不足になり便秘がちになります。

 先日病院でももらった便秘薬が「酸化マグネシア」でした。この薬は陶芸の釉薬でも使用され、黒色、紺色、紫色のマット(ツヤ消)釉の媒溶剤として混合すると綺麗な色が作れます。
またレントゲンを写す時に飲む「バリウム」も、緑色を作る時に石灰と合わせて使用すると黄緑色のきれいな色彩が得られます。同じく、皮膚病の塗り薬として使われる「亜鉛華」も空色の釉薬を作る時に必要な材料なのです。

 そして釉薬の元になる長石を溶かす時に木灰、石灰、酸化マグネシア、酸化バリウム、塗り薬に使う亜鉛華、などを単味にまたは2,3種類混合することでいい釉薬を作ることができます。
普段私たちが何気なく飲んでいる薬が釉薬として使用できるなんて、面白いものですね。

 私は、いろいろなものに興味をもって常にアンテナをはりめぐらせる…ことが大切だと思います。例えば病院の薬をもらう時に、薬品名に気をつけて見るというのも新しい発見の糸口になるかもしれません。
こうして色々な材料を使って試行錯誤しながら日夜努力して各人なりの釉薬を作るべきだと思います。
「人に教えてもらおう。説明して欲しい。」とか「(誰かが作った)釉薬を使わせてもらおう。」と簡単に考える前に、自分だけの釉薬を作り出すよう、がんばってみてください。

【024】陶芸を始める季節

 陶芸を始める方は、春から夏にかけて・・・というのが一番やり易いと思います。

冬は粘土が冷たくて乾きにくく、作品を作っても夜間に冷えるので何らかの方法で温めておかないといけません。もし凍らしてしまうと太陽が昇る頃にはせっかくの作品もくずれてしまいます。
特に大型の作品となると夜間の保護が大切で電気毛布で囲ったり、コタツの弱熱で暖めたりします。

 粘土は摂氏18度前後であればバクテリアの繁殖が旺盛で粘り気もよく作り易いのですが気温が下がると粘土のバクテリアが死滅して作りにくくなります。
数年前の話ですが、運び込まれた粘土を土間の上に置き、凍らせないように毛布を掛けておき、春になってその粘土を取り出したところ、冬の間かぶせてあった毛布がボロボロになっていたことがあります。
その時、バクテリアのすごさを実感しました。温度と湿度があればバクテリアの繁殖も盛んになるのです。

 春に開催される陶芸展に出品される場合には12月中の気温がさがらないうちに素焼きを済ませる心構えが必要です。1月や2月に作り出しては、遅れをとりあせるばかりで良いものは作れません。
やはり何をするにも「早め早めの取り掛かりと、準備を怠らないこと」が必要ということです。

【022】出品の意義

中央地方を問わず、秋の美展が開かれており、すばらしい作品が私たちの目を楽しませてくれます。
家庭に飾るには大きすぎないか?例えば100号~200号(1号:はがき大)の絵画や、50cm各の大壷を出品する場合によく聞かれます。
これらは、美術展出品用として制作したもので、家庭に飾るとか売り物として作ったものではありません。

 出品された作品は、美術展という大舞台でこれまでの努力成果を競う訳ですから、華やかな衣装を着け、おおきなステージでも映えるような化粧をして、審査に合格できるよう、一生懸命作るのです。
つまり、通常の制作とは違った形で「自己表現」「自己アピール」をする必要があると思います。

 陶芸に関しては、審査の対象として「造形美」と「装飾美」があり、常に新しい感覚で創作しているか?ということがポイントとなります。
私は、かねがね生徒のみなさんには「他人に作れない作品を自分自身の発想で創作し、そして新しい発見をして欲しい。」と申しています。
もちろん、陶芸はする目的は、人それぞれに違うと思います。趣味程度で楽しむのもよいかと思います。
ただ、少なくとも私は生徒さんには、ある程度の技術を習得したら、厳しい道であっても挑戦することに意義を見出して欲しいと指導をしています。

 それにしても1年に数回ある美展のため、売れもしない大作を10個20個と作るなんて…とおっしゃる方もいるかもしれません。
けれど、夢を持ってひたすら作りつづけ、自分なりの発想と表現にウデを磨くことは、すばらしいことではないでしょうか。
それは、陶芸に関心のない人にとっては、おかしく感じられることかもしれませんが本当に夢に突き進んでいる当事者にとっては、毎日の創作や、この充実した日々は、何物にも変えがたいものなのです。

【020】岩石粉の漂白

  綿布や動物の皮を漂白することはごく当たり前に行われていますが、岩石の粉を漂白することは余り聞きません。

 しかし陶芸の世界では自然の岩石の粉末をなんとか満足できる色彩に仕上げるために、試行錯誤をくりかえしている現状です。
 工業的には鉄分を磁石で除去する方法と、もしくは強酸で洗浄して石灰で中和する方法が用いられています。
ただし、強酸を使用したあとの岩粉は残念ながら陶芸材料としては適合しなくなります。

 先般、カイラギ釉を作り出したときにも岩石粉の漂白に大変苦労しました。
黒い石粉を白くするのに#80、#100、#120の目の篩(ふるい)でふるっても焼き上がりはダークグリーンとなってしまいます。
それでも当初は満足していましたが、そのうち、もっと白い色にできないものかと思いつづけた結果、遂に、漂白することを発見できたのです。 
淡い卵色に発色するカイラギ。お茶のうつりもよく、満足しているところです。

【019】釉薬の原料探し

 先日、雨の日の夕方、かねてから目をつけていた砕石場に行くと、側溝から赤色の濁った水が流れていました。
 流れに沿って登っていくと「立入禁止」になっていましたので、とりあえず水溜りの赤い泥水をビニール袋に入れて持ち帰りました。
漉網(こしあみ)を通して沈殿させ長石と半々の分量で混ぜて釉薬を作り、試験的に焼いてみたところ、予想以上の出来ばえに感激しました。

 この石粉を基礎に「マグネシウム」「バリウム」「骨灰」「亜鉛華」などの培養剤を加え、配合を変えてみると7~8種類もの違った釉薬ができることがわかりました。
 今まで1つの種類の原料で、これほどバリエーション豊かな色が出せるものはありませんでした。
それだけに、良い材料との出会い、探し出せたことは、陶芸をするものにとっては、最高の喜びです。

 後日2tトラックで微石砕だけを求め保存していますが、原料に余裕があると日々の研究・実験が楽しくてしかたありません。
自分だけのオリジナル釉薬をつくり出すこと、そしてそれをもっと極めたい気持ちでいっぱいです。と同時に、正直な気持ちを申し上げると、当分誰にもこの「原料の場所」を教えたくありません。
でもこれが本当の気持ちではないかとも思います。

【018】カイラギ釉について

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(前回に引き続き、カイラギ釉について)
 新しい釉薬を作るには、自分の研究意欲を持ちつづけるだけでなく、努力や手間を惜しまないことだと思っています。また同時に、私を支えて協力してくれる、家族、友人、知人のおかげだと感謝しております。
 
 私は地元のさまざまな土石(珪藻土)を捜し求めて「カイラギ釉」の研究を続けております。それは自然の恵みを受けられる地方だからこそできることなのかもしれません。
 とは言うものの、原料の土石(珪藻土:けいそうど)を探し出した後、険しい山の斜面を登り下りして掘り出し、しかもそれを担いで車のある場所まで運んでくるのも一苦労です。
しかも、採集した土石を粉砕して、さらに何度も篩(ふるい)をかけて釉薬を精製していくまでの間に原料は半減してしまいます。
また、せっかく作ったバケツ一杯の釉薬を丸ごと捨てることも往往にしてあります。このように難儀して作った釉薬がいつもうまくできるとは限りません。日々、失敗とやり直しの繰り返しの毎日なのです。

 けれども
「カイラギを作りたい。2001年までに完成させたい。」
という思いや目標が、私を支えてくれたような気がします。
現在、5,6種類の「カイラギ釉」ができ、ほぼ確実に「カイラギ」を再現できるまでになってきました。
今後も研究を重ね現在の釉を基本にして、あと5,6種類くらい「変わったカイラギ釉」を生み出すことが次の目標であり夢です。
 ここ鹿児島県の古い窯元には、天目・ソバ釉・柿釉・アメ釉・イラホ・黒釉・ドンコ・ダカツ釉・・といった特殊なすばらしい釉薬があります。
けれども私は、まだ誰も手がけていない「カイラギ釉」にこだわり、作り出し続けたいと思っています。

【015】シラスの利用

 鹿児島県一帯は、桜島火山の噴火によって流出した溶岩が風化した「シラス台地」といわれる白い土層が分布しております。
この「シラス」は、雨水を吸収すると崩れやすく、軟弱な土壌が度々災害を引き起こす欠点があり、厄介物とも言われております。
 
 ところが近年、各分野でこの「シラス」を利用する研究がされており、例えば「塗料」「ガラスウール」「濾過(ろか)器材」など、さまざまな製品が作り出されています。

 私もこの「シラス」を利用して陶芸用の釉薬を数種類作ってみました。
(後ほど、その作品はホームページでご紹介したいと思っております。)
地元ならではの素材を使い、味のある作品をといつも心がけております。
まだ研究の余地がありますが、未利用資源の宝物になるのではないかと大いに期待しています。
 ちいさな努力の積み重ねで、まさに21世紀は創意工夫の時代になるように思いますし、同時に夢をふくらませております。

「シラス」を利用して陶芸用の釉薬をつくる



【005】釉薬の種類

先日
「木の灰の釉薬と岩石の釉薬の違いはなんですか?」
というご質問を頂きました。今回はそれについて少し説明をしてみたいと思います。


木の灰から作った釉薬を「木灰釉(もくはいゆう)」、岩石を採取して作った釉薬を「土石釉(どせきゆう)」もしくは「岩石釉(がんせきゆう )」と呼んでいる。

木灰釉」は、日用食器などの、どちらかというと艶があり、手触りがつるつるした感触が好まれる器に主に使われる。
一般的には、長石70、木灰30の割合で配合したものが透明釉と言われ、それに、ベニガラ(酸化鉄)やコバルト、二酸化マンガン、銅などを少量加えることによって、いろいろな「色釉」をつくることができる。



一方、「土石釉」は「しぶいしっとりとした」釉調を出す場合に使う。
代表的なものとしては、柿釉、黒釉、イラホ釉などがある。

名前からすると「土石釉」というのは、ごつごつした石や岩のイメージがあるが、実際には採取してきた岩を細かくつぶし粉状にした後『石臼』でひき、更に60メッシュの『ふるい』でこして、その上更に100メッシュの『ふるい』をかける。そして最終的には、手でさわると、どろどろとした状態にまでになっている。

自然の土や岩石の中には、石灰、バリューム、マグネシウム、また鉄分が含まれている。その含まれている岩石成分の違いによって、焼き上げた時に、いろいろな変化をもたらすというわけである。採取した場所によって含有物が異なるために発色や出来上がりの雰囲気が違ってくる。



私はこの不思議な釉薬の魅力にとりつかれ、いろいろな場所の土や岩石を採取しては、どんな窯変を起こすかを調べたり、釉薬同士を調合して新しい釉薬を作り出す研究を続けてきた。そしてそれこそが、私の生きがいでもあり楽しみにもなっている。
釉薬を分析したり調合したりして、いつかは100種類以上の「オリジナルの釉薬」を作ってみたいと思っている。研究してきた釉薬の内容(料理で言えばレシピにあたるもの)と実際その釉薬を使ってできた作品とを併せて編集して、本にして残したい・・それが私の将来の夢である。

【004】釉薬の追求と失敗

新しい釉薬を研究する中には当然失敗もある。今回がそうだった・・。
前回採取してきた同じ岩を粉砕して釉薬を作ったものの、窯出しをしてみると、内側が「釉はがれ」(釉薬がめくれあがってはげてしまうこと)になってしまっている。

同じ場所で採取しても岩石成分が微妙に違うことや、岩石の洗浄が十分でなく塩分が残ったままであったこと、そしてまたここ1週間ほど寒い日 が続いために、「厚がけ」をした釉薬が完全に乾いていなかったこと・・ 
などが原因のひとつとして考えられる。



私の求めている「カイラギ」とは、美しい「ちぢれ」のことである。
それは「収縮しにくい粘土」を使い形を作り、素焼きしたあとに今度は「収縮しやすい釉薬」を使って1250度で焼く。
「カイラギ」は両者の収縮度の違いによって生まれる。ただし、この自然の美しさを確実に実現するのは、かなり難しい。・・・だからこそ 貴重なものといえるのかも しれないが。



失敗作は、私にとっては失敗作である。
生徒たちは「これも味があっていい。」と言うが、カイラギの追求と言う意味では、私自身が納得ができるまで、試行錯誤の繰り返しのような気がする。また自分自身の内面を振り返れば
「2000年度の新作をはやく発表したい。確実なものにしたい。」
というあせりもあったのではないかとも思う。
 
 『神は愛する者のみ試練を与える。人を相手にせず、天を相手にする。』
 この言葉をかみしめながらまた挑戦したいと思っている私である。







Copyright © 2017 keizogallery (陶芸家 萩原啓蔵)


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