やきものの総称を「陶器」と言っていますが、その中には磁器と陶器があります。
陶芸家は、磁器のことを「石もの」、陶器のことを「土もの」と呼んでおります。
 「(磁器)石もの」は陶石(硬い石の白い粉)、長石等の主原料で作られています。


産地では瀬戸、有田、九谷などが有名です。(もちろん、有田などでは現在は、磁器だけでなく陶器も作られていますので限定はできなくなっていますが。)
日常、一般的に使われている茶碗や湯のみは磁器がよく使われています。
(これらを「せともの」と呼ぶのも産地名の「瀬戸」からきています。)
反面、芸術作品としても整った美しさでいろいろなものが生み出されています。


 「(陶器)土もの」は粘土(白色から黒色までと種類が多い)で作られ、うつわとしては、吸水性が高いために水が染み込みやすく、洗いにくく、においが付
きやすくピンと叩くと低い音がします。
とは言うものの、やわらかな暖かみがあり、各地で産出された粘土の特質によって異なった趣のある作品ができます。
私はこの「味わい」という意味では陶器の方が芸術性豊かなものがあると思っています。


 一般的な磁器と陶器の特徴を述べましたが、例えば、志野焼に使われる志野土(しのつち)、薩摩焼によく使われる粟田粘土(あわたねんど)、仁清土(にんせいど)、などは、粘土自体も焼きあがりも白色となり、見分けがつきにくいのですが、これらは陶器です。
また「薄いものが磁器」とは限りません。土ものでも、極限までうすく作られたうつわもあります。(ただし、強度はありませんが。)
やはり微妙な違いに関しては、ひとめでわかりにくいかもしれません。
実際にご自分の手で土に親しみ、作品を作っていくことによって、五感で自然に分かるようになると思います。