ぐい呑み、酒器、抹茶茶碗、湯のみ、片口鉢、作家 萩原啓蔵 の陶芸作品をご紹介しています。
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「 陶芸家雑感(エッセイ) 」 に関する記事一覧

【053】新しいぐい呑みへの挑戦

 現在、新しいぐい呑みに取り組んでおります。
たっぷりもったりとした釉薬がかかったぐい呑みは温かい感じを受けますしそれが自分らしい作品だと思っています。

どこにもない、啓蔵らしい独創的な作品を作る、それが私の目標でもあります。
ですが、これまでにも何度か書いているように、長い経験をしても、なかなか思うような色が出ません。いや、うまくいくほうが少ないかもしれません。

今、新しいぐい呑みとして挑戦しているのは「碧がかかった黒色の地に、乳濁などの3種類の釉薬を重ねがけをする」作品です。
例えば三種類の釉薬を重ねがけをして発色を得るためには、単に三種類の釉薬を使うだけではうまくいきません。下地の釉薬に直接目的の釉薬をかけると、釉薬同士が混ざり合ってしまい、きれいな発色を得ることが出来なくなるからです。
ですので下地の釉薬と発色させる釉薬の間にそれぞれ別の釉薬をかけていきます。

しかしながら、それぞれ釉薬同士の相性がある上に、釉薬の中にはカイラギを消してしまうものもあるためになかなか簡単にはいきません。
それでも黒と白のはっきりとしたコントラストに加えて、微妙な色を表現してみたい、と思っています。

いつになるかわかりませんが、会心の作をお届けすることができたらと思います。


*2012/07 追記
啓蔵の会心のぐい呑み


啓蔵虫食い ぐいのみ
啓蔵虫食い ぐいのみ
啓蔵の新作 ぐい呑み 「啓蔵虫食い」




【052】夏の陶芸のコツ 陶芸家雑感 : 陶芸家 萩原啓蔵 陶芸エッセイ

先日、陶芸を始めて間もない方から、質問がありましたので「夏の陶芸」で気をつけることなどを簡単に書いてみたいと思います。



夏の陶芸は、作陶中に粘土の乾燥を防ぐ工夫をする、ことが先ず大事です。
そのためには、

・作陶する部屋はクーラーはお勧めしません。
 扇風機などを直接粘土に当てないようにしながら作業をしましょう。

・手元に霧吹きのようなものを準備し、粘土をいつも適度に湿らせる。また塗れた雑巾などをかぶせておく。

・粘土は、使う分だけをこまめに取り出し、すぐには使わない分はビニールに入れておく。

・粘土が固くなってしまった場合には、固まりを細切りにして(小分けして)水分を補充した上でまるめ、
 一晩寝かせると使いやすくなります。

・成形後は、風にあてないようにしてタオルなどの布をかぶせ1日程度乾燥させ、 その後、タオルや布をはずしてさらに日陰で2,3日乾燥させます。
 これは作品を均等に乾燥させるためです。 (口元の部分から先に乾燥してしまうので)
 素焼き直前(窯に入れる1日前くらい)に、今度はひっくりかえして直射日光などで乾燥させます。
 特に高台部分をよく乾燥させるように意識します。

・じゅうぶんに乾かす、ということが必要ですが、なによりも形を作る際に「薄く」作ることを心がけてください。 
 目安の厚さとしては 

 食器  :4mm~5mm
 花器  :7mm~8mm
 大型作品:12mm~13mm

 初心者は、ついつい厚く作りがちですが、厚みがあればあるほど「内側の乾燥」 が難しくなり、 焼成の際のひび割れの元となります。


陶芸作品 皿

暑い中での作陶作業は大変でしょう。また陶芸を始めてしばらくは粘土の扱い慣れないでしょうし、いろいろと失敗もあるとは思いますが、ぜひがんばってください。上達の秘訣は「できれば毎日、それが難しい場合でもなるべくたくさんの時間」「継続的に粘土に触れる、作陶のために指先を使う」ことです。
私の陶芸教室に通う生徒さんたちも、暑い中、非常に熱心に作陶しています。
そのがんばる姿は、私自身への活力源にもなっています。

(追伸)
啓蔵作品感想 陶芸作品の感想
はいつも読んでいます。たくさんの感想は本当に励みになります。
本当にありがとうございます。


【050】「釉薬を重ねてかけるむずかしさ」

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たっぷりと幾重にも釉薬をかけ、重なった色合いの発色が出た作品は、深みと変化を味わえると思います。

『啓蔵虫喰いぐい呑み 宇宙』
は、特に、釉薬を重ねた中でも、技術的に難易度が高いものでしたが思いどおりに発色した作品です。(注1)
 この「釉薬を重ねてかける」というのは、大変手間がかかります。



雪釉

1度目の釉薬をかけ、それを完璧に乾かしてから2度目に違う種類の釉薬をかけます。そして、それもまた完璧に乾かして、やっと3度目の釉薬となります。
なによりも「完璧に乾かした上で」次の釉薬をかけませんと、窯で焼成後取り出してみると、どろどろになって水ぶくれができたり、はがれたり(欠落したり)してしまうのです。
同時に、性質の違った釉薬をたっぷりと、しかも厚く重ねるというのは、大変むずかしい作業でもあります。





虫喰い


けれども、たっぷりと釉薬をかけるからこそ「虫喰い(注2)」ができ、複数の種類の釉薬を重ねてかけてあるからこそ「深い発色」が出るのです。

私自身、これまで何度も失敗を繰り返しながらも、「私なりの美」を求めて試行錯誤をしてきました。
それだけに納得のできる作品ができると、本当に達成感があります。
そして、実際に作品を手にとっての(お買い上げ頂いたお客様から)感想を読むと、作家として本当にうれしく、感謝の気持ちでいっぱいになります。

 私のこの雑感をご覧になっているのは、(作品を)買って頂いた方だけではなく、陶芸に興味のある方、陶芸を勉強されている方も多いことでしょう。
もしも、そのような方々の参考になるのであれば、と思い、実際に失敗した作品(釉薬が欠落したものなど)をお分けします。

どんな感じになるのかなっているのかを実際に観察するだけでも、今後の陶芸や陶芸作品鑑賞に、なにかしらヒントになれば幸いです。



(注1)この作品は現在、販売終了。
(注2)ぼこっぼこっとあいた穴のこと


【049】「啓蔵虫喰いぐい呑み 宇宙」(聞き書き)

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「宇宙」で使っている釉薬は、鹿児島のシラスをベースにしています。

また、青色の微妙な発色や変化を出すために、配合を変えた釉薬を3種類を使っています。

用意した釉薬は3回にわけてかけるのですが、1種類目の釉薬をかけた後、まる一日くらいかけてしっかり乾かし、そして次の釉薬をかけ、またしっかり乾かして、最後の釉薬をかける、作業をします。

この丁寧な作業が、深みのある発色を生み出すもとでもあります。
ところが、釉薬は(特に冬場は)なかなかしっかり乾きにくい、というのが難点です。
乾かすのが不十分だと、はがれおちてしまいます。
また発色のイメージを考えながら釉薬をかけても、窯出しするまではどんなふうに発色するのか、虫喰いができるのか、わかりません。


300img2008 でもこの「宇宙」は窯から出した瞬間に「手ごたえ」を感じました。

深みのある青、そんな色を出せたことに非常に満足しています。


昨年は野口さんのスペースシャトルで宇宙へ行きましたが、その時の「宇宙」を思い描いた作品です。
実は今、私も「宇宙」を手にとりながら話をしています。

この同じ「宇宙」を実際に手にとってご覧になった皆さんは、この「青」と「虫喰い」の肌をどんな風に感じるのだろう?と思います。
作家の思いが伝わるとうれしいのだが…とも思います。
私自身、何回も作品を眺めながらあらためて釉薬のパワーのようなものや発色の不思議を感じています。


【048】KMさんの入賞を喜ぶ

 去る6月21日から7月3日まで開催された鹿児島女流美術展(主催:南日本新聞社)の工芸部門で私の陶芸教室に通うKMさんが「南日本新聞社賞」を受賞しました。

陶芸を始めて2年目での快挙です。このような賞が頂けるとは本人もさぞびっくりしたことでしょう。
 創作過程から見守っていましたが、多分これはいいところに入賞するのではという期待を持っていました。とは言っても、繊細な紋様の彫刻などはかなりの忍耐力が必要で、なかなか簡単にできるものではありません。本人の素直な性格と地道な努力が実を結んだのでしょう。

 作品は、扁平の壷の両面に「木の葉の葉脈」を刻み、その上からマットの釉薬を塗っています。けれども実は、その作業の前に彫刻した葉脈だけ黒釉を塗り同系統の透明釉、トルコ釉、空色釉をスプレーで吹き付けているのです。
 制作過程の中には、釉薬ひとつにしても、たくさんのアイディアや工夫が盛り込まれています。そしてそれがすばらしい作品に結びついたのだと思います。

 例えば陶芸の釉薬について言うと「相性をしっかり確かめる研究」が必要です。それ無しには、いざ「大型の作品」に取り組もうとしてもうまくいきません。
 デザインにしても釉薬にしても、日々研究を重ね、その上で新しい発想でチャレンジすることが大事だと、生徒さんにも指導しております。

そういった意味でも、生徒さんの受賞は我が事のようにうれしく思います。
と同時に、私自身も新たな釉薬のために意欲的に取り組みたいとあらためて思った次第です。

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■「息吹」 作品の画像をご覧になりたい方へ
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http://373news.com/(南日本新聞社)の記事として紹介されています。
http://373news.com/(南日本新聞社)のTOPページ「右より中央部の下方」にある
「南日本新聞ピックアップ をクリック」  → 「第23回南日本女流美術展  をクリック」 → 「息吹」の作品 → 「作品写真をクリック」
で「作品の拡大写真」を見ることができます。

とてもすばらしい作品です。ぜひご覧下さい。
※なお、このリンクの許可は事前に南日本新聞社より許可を得ております。

【047】(続)ガラスと釉薬

 先般  色ガラス破片を用いて装飾することを説明しましたが、この技法は平面に利用できても立体には施行しにくいものです。
そこでガラス粉を用いた釉薬として立体にも応用できる釉薬の作り方を説明いたしましょう。


この方法は今までの色ガラス破片を用いるだけでなく、カイラギ釉の基本にもなる釉薬の作り方です。

 先ずガラス破片を粉末にする必要がありそのガラスの粉を長石を準備します。
材料店でガラス粉、ビーズ粉としての商品も販売されていますのでそれを利用してもよいでしょう。

基本となる長石には、ソーダ長石やカリ長石があります。
釜戸長石、対州長石、益田長石などはソーダ長石と呼ばれ貫入釉、カイラギ釉、柚肌釉、虫喰い釉などに用いられます。

 準備した材料を、長石90:ガラス粉10の割合で60メッシュのふるいにかけフノリやCMC、またはデキストリンなどの糊と混ぜ合わせ、中華なべの中で粉がねばりのある状態になるまで幾度も練り合わせます。それを素焼きの試験品に塗ることによって釉薬の硬さが体得できます。

硬くて塗りにくい、また、やわらかくても駄目です。
これを杓がけして乾燥するのを待ちます。
着色したい場合には、色釉を塗ります。上掛釉にも貫入、カイラギ、虫喰い釉、それぞれに相性のいい釉薬があり、それで出来具合が決まります。
 先ずなんどか試験をして、失敗を繰り返しながらも基礎を磨いてください。
これがカイラギ釉を作り出す原点にもなります。




【046】うつわを植木鉢として使う

随分前にも書きましたが 「うつわの用途は固定のものではない。使う人にうつわを大事にする心がありさえすればアイディア次第で、どのように使われても構わない。」と思っています。
 例えば「有が田や」で商品として出している楕円皿を物を食する「皿」として使うか、生け花の花器として使うかはそれぞれ「使う人の感性」でしょう。大事にして頂ければ、それだけで作った立場としてはうれしく思います。

 古くなってしまった場合でも、工夫次第では、また趣きのあるものになります。うつわを植木鉢として使う場合をご紹介しましょう。


0411075 うつわ(抹茶碗)を「やわらかな面(クッションになるもの)」の上に(ここでは赤いふかふかした座布団)に乗せています。



0411076 クッションの上に新聞紙を敷き「十字ドライバー」を「金槌でトントンと軽く」たたきますと意外にも簡単に穴が開きます。
 ※啓蔵作品でいえば「啓蔵」印の押されている部分が開けやすいです。
 ※場合によっては2,3箇所穴を開けるとよいでしょう。
 ※磁器は、かなり難しいのでお勧めしません。



0411077 実際穴を開けた後の抹茶碗の様子(5箇所開けました。)





04110701 あとは通常の要領で、植物を植えます。

実際に寄せ植えをしている写真ですが、直径7cm高さ7cmくらいの小鉢を使っています。
(左手前:ユキノシタ、中央奥:ヤブコウジ、右手前:タマゴケ)


 余談ですが、山野草は「うつわに合わせて成長する」と言われています。
本来、地植えであれば背が高くなりますが、写真の山野草はそれなりにバランスをとって成長しているのがわかるでしょう。不思議にも思いますが、植物の適応能力の高さ、たくましさを感じます。
ささやかなことですが、機会がありましたらぜひお試しください。


【045】美展に思う

 芸術の秋を迎え鹿児島県最大の南日本美術展がいよいよ来月開催されます。
洋画、日本画、工芸(陶・染・彫)の総合美術展です。制作時のこの時期に度重なる台風に見舞われましたが、出品に間に合わせようと教室の皆さんそれぞれに頑張っています。

 焼き物の美しさは造形美・装飾美、それに作る人の工夫された創造性によって表現され、見る側の私たちに一層の感動を与えてくれます。造形美とか装飾美と言っても漠然としていますが、他人と同じ仕事をするとか真似るのではなく、独自の個性を大切にしながらも調和のとれた作品作りをする中から生み出されるもので、この感性は一朝一夕にして出来るものではありません。

到達するまでにはさまざまな苦労と努力を要します。それには日ごろから新しい物を目指したデザイン力を養うことを心がけ、常に新しい作品に触れ、そして出会い、書物や写真等で感動した「人まねではない独自のもの」を自分の中に集めておくことが大事でしょう。
 陶芸を続けておりますと、自然に型・色彩がその人の中に定着してきて他人の作品でも何となく「誰さんの作品」だとわかってきます。その個性を大切にしながらも、時代の進歩と共に私たちも日々前進して新しい作品作りに努力したいものだと考えています。
その努力こそが「感動を伝える源(みなもと)」になるようにも思います。


【044】初心者用ガラス貫入釉の使い方

 先般ガラス釉の使い方について記しましたところ、多くの愛好者の皆さんに喜ばれもう少し詳しい説明が欲しいとの要望がありましたので再度作り方の説明をいたします。

〔1〕粘土で皿の板作り(タタラ作り)をします。

〔2〕〔1〕を裏返して両面をきれいにヘラがけ(仕上げ8mm位に)します。

〔3〕下地が出来ましたら紋様を入れます。 描いてもいいし、レースをあてて凹凸をつける、好きな模様をコピーして 乗せ、上から点描写する(1~2mmのけずり模様を出す)、木の葉っぱを置いて叩いて模様を作り出す..  など工夫次第でいろいろできると思います。

〔4〕下準備ができたところで。好みの皿(陶器、プラスチック、ガラスなんでもよい)に乗せて乾かします。大事なことは「底になる面は必ず平面にする」ことです。

〔5〕少し大きめの作品を作りたいと思う時のコツは
   ・たらいの表面に布を張る。(太鼓の皮を張る要領で)
   ・張り方は布をかぶせて、たらいの周りを紐でしっかり結ぶ。
   ・底面となる部分にはベニヤ板等の水平な木片を入れておくと、
    その部分が水平に成形されるので高台などがつけやすくなります。
   ・水平に張った布の上に〔3〕のタタラ板を入れ、軽く押さ形を整えて乾燥させます。
    粘土の重みで、布がたるみ自然な曲面ができるでしょう。


 実際にやってみるとそれほど難しくはありませんが、文章では説明が難しく感じられるかもしれません。わからないこともあるでしょうが、何回か失敗を繰り返している中から自分なりの面白い作品ができると思います。
 
 さて素焼き後、いよいよガラス片を皿に置いていくのですが、その前に作品全体に透明釉か乳濁釉を塗ります。
その後、配置していくガラスに合わせて色のコントラストを考えながら、色釉を塗ります。
透明なガラスを使う場合には、呉須(ごす)細い線を描いてみると綺麗です。いろいろ試してみてください。
ガラス瓶を破砕する時は、紙袋等をかぶせてハンマー等で叩きます。怪我をしないようくれぐれも気をつけてください。
ビール瓶の茶、ウィスキー瓶の緑、焼酎瓶の空、薬品瓶の赤、空、透明のガラスは、色別に空き缶等おに分けておき、使用する場合は必ずピンセットを使います。重ねて怪我のないよう、ご注意ください。

いろいろ試してみてください。皆さんのよい結果をお待ちしています。

200409
生徒さんの作品です。
陶芸歴は浅いのですが、ガラスをうまく使った作品に意欲的に取り組んでいます。

写真はまだ素焼きの段階ですが、アジサイをモチーフにしている作品で、ガラスの色が混じらないようにするためにたくさんの工夫がされています。



【043】K老人との出会い

10年ほど前になりますが20~30キロ離れた隣町から50ccのオートバイで当方を尋ねてみえたのがK老人です。
公民館で陶芸を勉強しているが使える釉薬が透明釉と黒色釉の2色しかないので、何とか自分の欲しい釉薬は出来ないものかと「ある場所から掘り出した土石」を持参してわざわざ見えたのです。

 K老人はかなりの年配にも似合わず、釉薬について熱心に質問され探究心旺盛で人の良さそうな感じでした。ですのでこちらも快く話しに乗り
「釉薬は土石だけでは作れないこと」「媒溶剤としての灰を作ることから始まり、
石灰(炭酸カルシウム)、バリウム、亜鉛華硅石、チタン、ベニガラ、酸化マンガン、酸化銅、酸化コバルト等色々な材料が必要だということ」
を説明しました。
その上で、どんな色のどんな釉薬が欲しいのか希望を聞いてこちらで試してみましょうと約束しました。



230guipa300002 
さて、K老人の持参された土石2~3種の中には使えない土石もありましたがその中で私がもっとも注目したのが「水打(みずたれ)粘土」(水酸化鉄、又は、がね水とも言う)でした。

長石灰、ワラ灰、水打粘土を同量加えて試作した結果、釉薬が作品を「綺麗な飴色」に焼き上げました。

K老人も大変気に入り喜ばれ、その後、毎月定期的にその水打粘土を運んで来て下さるようになりました。

K老人は地元の土地をよく知っていてその粘土がたくさん出る場所を探せたものと思います。
 

 陶芸をやっている者の常識として敢えて私は水打粘土の出る場所を聞き出すことはいたしませんが、なかなかいい材料です。
その水打粘土を利用して黒、紺、空、柿色の釉薬の作り方、材料の配合方法などK老人に指導したのがきっかけで、その後定期的に持ってきて下さるようになったのです。
私のカイラギ作品の虫喰いなどはこの水打粘土が主原料になっています。

 その土地で見つけ出した材料で誰にも真似のできない、その人その土地ならではの特産品を創り出すのが私の夢なのです。
ひょんなことからのK老人との出会い…今後もお互い大事にしていきたいものです。










Copyright © 2024 keizogallery (陶芸家 陶芸作家 萩原啓蔵)


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