【ぐい呑み】青のしぶき
啓蔵の青色の釉薬の中でも、とても落ち着いた渋い青色です。
このぐい呑みの特徴は、外側の景色は、本当に荒々しいしぶきのような勢いがあるのに対して、
内側は、同じ釉薬ではなく、薄い色の釉薬がかかっている点です。
まるで「動」と「静」の対比をみているかのようです。
でも、本当に素敵ですよね。
手にとってみると、しぶきのような青を、ついつい眺めてしまいます。
青のしぶき
この作品で一番注目して頂きたいのは、釉薬で表現している、青いしぶきの勢いです。
このぐい呑みは、外側と内側の風景が、激しさと静かさをあわせもっているような作品です。釉薬で表現している、青いしぶきの勢いがすばらしいです。
2013.04.16 火曜日
「 重ねて釉薬をかけるむずかしさ 」
陶芸家萩原啓蔵の陶芸エッセイの中からご紹介します。
何種類もの釉薬を重ねるのはとても難しいとのことです。
陶芸家の工夫や苦悩や失敗を経て、美しい個性的な作品美を形成するのだ、ということをあらためて感じます。
啓蔵の新作 ぐい呑み 「啓蔵虫食い」
2012.07.25 水曜日
うずのような墨絵のような、独特な深みのある渋い作品。
2010.07.30 金曜日
【ぐい呑み】水青流
発売当初から気になっていましたが、あまりにも個性的に見えた為、少し躊躇しておりました。
その後、いろいろな方のご感想を拝見する度に、気が引かれ購入を決意しました。
手にして最初に思った事は『一体、何種類の釉薬を重ね掛けしているのだろう?』でした。
私の見る限り、下地の茶釉、クリーム釉、ホワイト釉、チョコレート釉、ブルー釉と、少なくとも5色の釉薬が掛けられている様に見えます。
(実際には釉薬の種類によるものか、融合による変化なのかは判りませんが…)
クリーム釉、ホワイト釉は、もっと光沢があるかと思っていましたが、実物を見るとマット調に近く、思っていたよりも落ち着いた感じを受けました。
また、クリーム釉の中から所々湧き出た様なホワイト釉の風景は、いささか不思議です。(一体どの様に釉薬を掛けたのだろうか?融合なのだろうか?いろいろ想像してしまいます。)
釉薬の混ざり合った部分の微妙な色合いや、たっぷり掛かったブルーも綺麗です。
つい釉薬の発色に目が行ってしまいますが、これだけの釉薬を重ね掛けしながらも、虫食いが全体に出ているのは啓蔵さんの作品ならではと思います。とても興味深く面白い作品ですね!
大切にさせていただきます。
(東京都 Y様)
(店長)
Y様、ありがとうございました。
水青流は不思議な魅力のあるぐい呑みだと私も思います。
第一印象は非常に悪い!?のですが、でも何回か見ていると、気になってしまい、そのうち魅力に引き込まれてしまいます。
Y様も書かれていらっしゃいますが、あの釉薬の重ね掛け、そして虫喰い、カイラギと、いろんなエッセンスがいろんな形で出現して、ぐい呑み全体を包んでいるように思います。
クリーム色の釉薬の中に、突如としてでる真っ白な発色。(私もどのようにしたのかわかりません。)
本当におもしろい個性的な、ぐい呑み(陶芸作品)だと思います。
ぜひ末永くご愛用頂けると幸いです。
*販売終了いたしました。
2010.04.03 土曜日
現在、新しいぐい呑みに取り組んでおります。
たっぷりもったりとした釉薬がかかったぐい呑みは温かい感じを受けますしそれが自分らしい作品だと思っています。
どこにもない、啓蔵らしい独創的な作品を作る、それが私の目標でもあります。
ですが、これまでにも何度か書いているように、長い経験をしても、なかなか思うような色が出ません。いや、うまくいくほうが少ないかもしれません。
今、新しいぐい呑みとして挑戦しているのは「碧がかかった黒色の地に、乳濁などの3種類の釉薬を重ねがけをする」作品です。
例えば三種類の釉薬を重ねがけをして発色を得るためには、単に三種類の釉薬を使うだけではうまくいきません。下地の釉薬に直接目的の釉薬をかけると、釉薬同士が混ざり合ってしまい、きれいな発色を得ることが出来なくなるからです。
ですので下地の釉薬と発色させる釉薬の間にそれぞれ別の釉薬をかけていきます。
しかしながら、それぞれ釉薬同士の相性がある上に、釉薬の中にはカイラギを消してしまうものもあるためになかなか簡単にはいきません。
それでも黒と白のはっきりとしたコントラストに加えて、微妙な色を表現してみたい、と思っています。
いつになるかわかりませんが、会心の作をお届けすることができたらと思います。
*2012/07 追記
啓蔵の会心のぐい呑み
啓蔵の新作 ぐい呑み 「啓蔵虫食い」
2008.11.08 土曜日
「宇宙」で使っている釉薬は、鹿児島のシラスをベースにしています。
また、青色の微妙な発色や変化を出すために、配合を変えた釉薬を3種類を使っています。
用意した釉薬は3回にわけてかけるのですが、1種類目の釉薬をかけた後、まる一日くらいかけてしっかり乾かし、そして次の釉薬をかけ、またしっかり乾かして、最後の釉薬をかける、作業をします。
この丁寧な作業が、深みのある発色を生み出すもとでもあります。
ところが、釉薬は(特に冬場は)なかなかしっかり乾きにくい、というのが難点です。
乾かすのが不十分だと、はがれおちてしまいます。
また発色のイメージを考えながら釉薬をかけても、窯出しするまではどんなふうに発色するのか、虫喰いができるのか、わかりません。
でもこの「宇宙」は窯から出した瞬間に「手ごたえ」を感じました。
深みのある青、そんな色を出せたことに非常に満足しています。
昨年は野口さんのスペースシャトルで宇宙へ行きましたが、その時の「宇宙」を思い描いた作品です。
実は今、私も「宇宙」を手にとりながら話をしています。
この同じ「宇宙」を実際に手にとってご覧になった皆さんは、この「青」と「虫喰い」の肌をどんな風に感じるのだろう?と思います。
作家の思いが伝わるとうれしいのだが…とも思います。
私自身、何回も作品を眺めながらあらためて釉薬のパワーのようなものや発色の不思議を感じています。
2006.01.22 日曜日