ぐい呑み、酒器、抹茶茶碗、湯のみ、片口鉢、作家 萩原啓蔵 の陶芸作品をご紹介しています。
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「 陶芸作品 」 に関する記事一覧


【027】病院の薬と陶芸の釉薬

 一日中作陶を続けていると運動不足になり便秘がちになります。

 先日病院でももらった便秘薬が「酸化マグネシア」でした。この薬は陶芸の釉薬でも使用され、黒色、紺色、紫色のマット(ツヤ消)釉の媒溶剤として混合すると綺麗な色が作れます。
またレントゲンを写す時に飲む「バリウム」も、緑色を作る時に石灰と合わせて使用すると黄緑色のきれいな色彩が得られます。同じく、皮膚病の塗り薬として使われる「亜鉛華」も空色の釉薬を作る時に必要な材料なのです。

 そして釉薬の元になる長石を溶かす時に木灰、石灰、酸化マグネシア、酸化バリウム、塗り薬に使う亜鉛華、などを単味にまたは2,3種類混合することでいい釉薬を作ることができます。
普段私たちが何気なく飲んでいる薬が釉薬として使用できるなんて、面白いものですね。

 私は、いろいろなものに興味をもって常にアンテナをはりめぐらせる…ことが大切だと思います。例えば病院の薬をもらう時に、薬品名に気をつけて見るというのも新しい発見の糸口になるかもしれません。
こうして色々な材料を使って試行錯誤しながら日夜努力して各人なりの釉薬を作るべきだと思います。
「人に教えてもらおう。説明して欲しい。」とか「(誰かが作った)釉薬を使わせてもらおう。」と簡単に考える前に、自分だけの釉薬を作り出すよう、がんばってみてください。

【026】陶芸展出品をめざすみなさんへ

 春の陶芸展が近づいてきました。
 出品者の皆さん、準備はできたでしょうか?
春の出品物の多くは、冬に創作することになりますが、正月ボケ、寒波襲来転勤等が重なり、出品準備がなかなか思うように進まないものです。

 出品を考えるのでしたら、前年の陶芸展などを見て感動の冷めやらぬうちに作陶を始めるのがベストでしょう。
出品の期限が迫ってきては気ばかりあせり、手は進まず寒さと共に失敗をくりかえします。

 時間的にも気持ちにも余裕を持ってぜひ臨んでください。
五感のリズムが自然に動き出した時に生み出される作品には、勢いがあるはずです。
それから入賞することよりも、新しいアイディアと創造力豊かな作品をめざしてください。それこそが、きっと多くの方々に感動をしてもらえる作品になるはずです。がんばってください。

【024】陶芸を始める季節

 陶芸を始める方は、春から夏にかけて・・・というのが一番やり易いと思います。

冬は粘土が冷たくて乾きにくく、作品を作っても夜間に冷えるので何らかの方法で温めておかないといけません。もし凍らしてしまうと太陽が昇る頃にはせっかくの作品もくずれてしまいます。
特に大型の作品となると夜間の保護が大切で電気毛布で囲ったり、コタツの弱熱で暖めたりします。

 粘土は摂氏18度前後であればバクテリアの繁殖が旺盛で粘り気もよく作り易いのですが気温が下がると粘土のバクテリアが死滅して作りにくくなります。
数年前の話ですが、運び込まれた粘土を土間の上に置き、凍らせないように毛布を掛けておき、春になってその粘土を取り出したところ、冬の間かぶせてあった毛布がボロボロになっていたことがあります。
その時、バクテリアのすごさを実感しました。温度と湿度があればバクテリアの繁殖も盛んになるのです。

 春に開催される陶芸展に出品される場合には12月中の気温がさがらないうちに素焼きを済ませる心構えが必要です。1月や2月に作り出しては、遅れをとりあせるばかりで良いものは作れません。
やはり何をするにも「早め早めの取り掛かりと、準備を怠らないこと」が必要ということです。

【022】出品の意義

中央地方を問わず、秋の美展が開かれており、すばらしい作品が私たちの目を楽しませてくれます。
家庭に飾るには大きすぎないか?例えば100号~200号(1号:はがき大)の絵画や、50cm各の大壷を出品する場合によく聞かれます。
これらは、美術展出品用として制作したもので、家庭に飾るとか売り物として作ったものではありません。

 出品された作品は、美術展という大舞台でこれまでの努力成果を競う訳ですから、華やかな衣装を着け、おおきなステージでも映えるような化粧をして、審査に合格できるよう、一生懸命作るのです。
つまり、通常の制作とは違った形で「自己表現」「自己アピール」をする必要があると思います。

 陶芸に関しては、審査の対象として「造形美」と「装飾美」があり、常に新しい感覚で創作しているか?ということがポイントとなります。
私は、かねがね生徒のみなさんには「他人に作れない作品を自分自身の発想で創作し、そして新しい発見をして欲しい。」と申しています。
もちろん、陶芸はする目的は、人それぞれに違うと思います。趣味程度で楽しむのもよいかと思います。
ただ、少なくとも私は生徒さんには、ある程度の技術を習得したら、厳しい道であっても挑戦することに意義を見出して欲しいと指導をしています。

 それにしても1年に数回ある美展のため、売れもしない大作を10個20個と作るなんて…とおっしゃる方もいるかもしれません。
けれど、夢を持ってひたすら作りつづけ、自分なりの発想と表現にウデを磨くことは、すばらしいことではないでしょうか。
それは、陶芸に関心のない人にとっては、おかしく感じられることかもしれませんが本当に夢に突き進んでいる当事者にとっては、毎日の創作や、この充実した日々は、何物にも変えがたいものなのです。

【020】岩石粉の漂白

  綿布や動物の皮を漂白することはごく当たり前に行われていますが、岩石の粉を漂白することは余り聞きません。

 しかし陶芸の世界では自然の岩石の粉末をなんとか満足できる色彩に仕上げるために、試行錯誤をくりかえしている現状です。
 工業的には鉄分を磁石で除去する方法と、もしくは強酸で洗浄して石灰で中和する方法が用いられています。
ただし、強酸を使用したあとの岩粉は残念ながら陶芸材料としては適合しなくなります。

 先般、カイラギ釉を作り出したときにも岩石粉の漂白に大変苦労しました。
黒い石粉を白くするのに#80、#100、#120の目の篩(ふるい)でふるっても焼き上がりはダークグリーンとなってしまいます。
それでも当初は満足していましたが、そのうち、もっと白い色にできないものかと思いつづけた結果、遂に、漂白することを発見できたのです。 
淡い卵色に発色するカイラギ。お茶のうつりもよく、満足しているところです。

【019】釉薬の原料探し

 先日、雨の日の夕方、かねてから目をつけていた砕石場に行くと、側溝から赤色の濁った水が流れていました。
 流れに沿って登っていくと「立入禁止」になっていましたので、とりあえず水溜りの赤い泥水をビニール袋に入れて持ち帰りました。
漉網(こしあみ)を通して沈殿させ長石と半々の分量で混ぜて釉薬を作り、試験的に焼いてみたところ、予想以上の出来ばえに感激しました。

 この石粉を基礎に「マグネシウム」「バリウム」「骨灰」「亜鉛華」などの培養剤を加え、配合を変えてみると7~8種類もの違った釉薬ができることがわかりました。
 今まで1つの種類の原料で、これほどバリエーション豊かな色が出せるものはありませんでした。
それだけに、良い材料との出会い、探し出せたことは、陶芸をするものにとっては、最高の喜びです。

 後日2tトラックで微石砕だけを求め保存していますが、原料に余裕があると日々の研究・実験が楽しくてしかたありません。
自分だけのオリジナル釉薬をつくり出すこと、そしてそれをもっと極めたい気持ちでいっぱいです。と同時に、正直な気持ちを申し上げると、当分誰にもこの「原料の場所」を教えたくありません。
でもこれが本当の気持ちではないかとも思います。

【018】カイラギ釉について

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(前回に引き続き、カイラギ釉について)
 新しい釉薬を作るには、自分の研究意欲を持ちつづけるだけでなく、努力や手間を惜しまないことだと思っています。また同時に、私を支えて協力してくれる、家族、友人、知人のおかげだと感謝しております。
 
 私は地元のさまざまな土石(珪藻土)を捜し求めて「カイラギ釉」の研究を続けております。それは自然の恵みを受けられる地方だからこそできることなのかもしれません。
 とは言うものの、原料の土石(珪藻土:けいそうど)を探し出した後、険しい山の斜面を登り下りして掘り出し、しかもそれを担いで車のある場所まで運んでくるのも一苦労です。
しかも、採集した土石を粉砕して、さらに何度も篩(ふるい)をかけて釉薬を精製していくまでの間に原料は半減してしまいます。
また、せっかく作ったバケツ一杯の釉薬を丸ごと捨てることも往往にしてあります。このように難儀して作った釉薬がいつもうまくできるとは限りません。日々、失敗とやり直しの繰り返しの毎日なのです。

 けれども
「カイラギを作りたい。2001年までに完成させたい。」
という思いや目標が、私を支えてくれたような気がします。
現在、5,6種類の「カイラギ釉」ができ、ほぼ確実に「カイラギ」を再現できるまでになってきました。
今後も研究を重ね現在の釉を基本にして、あと5,6種類くらい「変わったカイラギ釉」を生み出すことが次の目標であり夢です。
 ここ鹿児島県の古い窯元には、天目・ソバ釉・柿釉・アメ釉・イラホ・黒釉・ドンコ・ダカツ釉・・といった特殊なすばらしい釉薬があります。
けれども私は、まだ誰も手がけていない「カイラギ釉」にこだわり、作り出し続けたいと思っています。

【017】カイラギ抹茶茶碗

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カイラギとは「梅華皮」とも書き、釉のちぢれのことをこう呼びます。
ホームページでも説明してありますが、収縮しにくい粘土を使い、それで素焼きしたあとに、一番収縮しやすい釉薬を使って1250度で焼き、両者の収縮度の違いを利用してこまかい「ひび割れ」が出たもののことを言います。


 カイラギに使う釉薬は、当地で産出される珪藻土を主原料にして、単味(一種類の意味)または二種類以上を混ぜ合わせて作り、発色させるのですが、これを確実に再現するために、これまでさまざまな研究をしてきました。
 山頂から海辺までいろいろな場所にある珪藻土を掘り出してシラスと混合して実験してみると、面白いことに、産出する場所の違い、また、土をふるいわける時の「篩(ふるい)」のメッシュ(目の粗さ、細かさ)によっても、大きく発色が変化することを発見しました。

 また、窯の中に置く位置(つまり温度差)によって、釉薬の「縮れ」や「はがれ」に大きく影響する事も、数年来の実験から発見したことです。
山の上から採取した土は窯の上部、海辺の土は下部に置いた方が、結果がよいようです。
 このように少しずつながら、細かい積み重ねによって、序序にわかってくることが多くこれからますます実験の繰り返しが面白くなるような気がします。
 新しい時代、私なりの研究・実験、そして創作・作陶を意欲的に続け『大事に持っていたい器』を生み出していくのが目標です。そしてそこに喜びや生きがいを見つけ「生涯現役」の日々を過ごしたいと思います。

【009】しぶきの大皿

 数十年前、ある知人宅に伺った折の話です。

 床の間に飾られていた直径60cmくらいの大皿に、私は目を奪われしばし見とれてしまいました。
見るからに豪快で、黒と赤の色合いのコントラストが実にすばらしい作品なのです。
このように、見る人に感動を与える作品を創り出した作家は?と恐る恐る近づき、黙礼をして裏を返してみると、なんと私の作品ではありませんか!
本当びっくりし驚きました。
以前に差し上げたことを私はうかつにもすっかり忘れてしまって、自分の作品とは気が付かず感動していたのです。


その大皿を創った頃は、私にとって「創意工夫」の全盛期でした。がむしゃらに頑張っており、ひらめいたアイディアを即作品に実行していました。
 大皿の手法を説明すると・・

 素焼きされた大皿に真綿を引っ張りクモの巣状にします。その上から全体に黒マット釉をブラシ掛け(ブラシとブラシを合わせ前後に、こすってしぶきを飛ばす)をした後、次に真綿を取り除き、黄・橙・赤のマット釉を吹き付けるものです。

で言うのは簡単ですが、考え出した後、何回も失敗を重ね、ようやく出来たものでした。
このブラシ掛けの技法は今でも自分の発案した技法の中でも、誇れる技法のひとつです。
 今でも作品にかける燃える気持ちには変わりはありません。自分の中で研究や経験を積み重ね、斬新な納得のいく作品をつくるために、日々努力しているつもりです。

と同時に、今までに自分の残した作品を出会った時、それにもきらり輝くものがあった・・そんな発見ができるのも、また作家冥利につきると思ったのでした。







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