ぐい呑み、酒器、抹茶茶碗、湯のみ、片口鉢、作家 萩原啓蔵 の陶芸作品をご紹介しています。
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「 陶芸作品 」 に関する記事一覧


【ぐい呑み】蒼ぐい呑み



【ぐい呑み】蒼ぐい呑み



このぐい呑みは、個性を全面に出す、というよりも、
あたたかく使いやすくのみやすい、マイぐい呑みとして手元に置いておきたくなるようなぐい呑みです。
控え目な蒼、カイラギ、そしてその上にかかる乳濁の釉薬の優しさ。
派手さはありませんが、掌で包み込んだ時、奥から温かみが伝わるようなぐい呑みです。


こちらで販売しております。

【ぐい呑み】宇宙

【ぐい呑み】宇宙

【ぐい呑み】宇宙
今年は野口さんのスペースシャトルで宇宙へ行きましたが、啓蔵が「宇宙」をイメージした作品とのことです。
確かにハッブル宇宙望遠鏡でとらえた宇宙みたいです。
濃い藍と青のずっしりとした釉薬。それが織り成す紋様。
そして、虫喰い(釉薬の穴ぼこ)も美しいものです。

【048】KMさんの入賞を喜ぶ

 去る6月21日から7月3日まで開催された鹿児島女流美術展(主催:南日本新聞社)の工芸部門で私の陶芸教室に通うKMさんが「南日本新聞社賞」を受賞しました。

陶芸を始めて2年目での快挙です。このような賞が頂けるとは本人もさぞびっくりしたことでしょう。
 創作過程から見守っていましたが、多分これはいいところに入賞するのではという期待を持っていました。とは言っても、繊細な紋様の彫刻などはかなりの忍耐力が必要で、なかなか簡単にできるものではありません。本人の素直な性格と地道な努力が実を結んだのでしょう。

 作品は、扁平の壷の両面に「木の葉の葉脈」を刻み、その上からマットの釉薬を塗っています。けれども実は、その作業の前に彫刻した葉脈だけ黒釉を塗り同系統の透明釉、トルコ釉、空色釉をスプレーで吹き付けているのです。
 制作過程の中には、釉薬ひとつにしても、たくさんのアイディアや工夫が盛り込まれています。そしてそれがすばらしい作品に結びついたのだと思います。

 例えば陶芸の釉薬について言うと「相性をしっかり確かめる研究」が必要です。それ無しには、いざ「大型の作品」に取り組もうとしてもうまくいきません。
 デザインにしても釉薬にしても、日々研究を重ね、その上で新しい発想でチャレンジすることが大事だと、生徒さんにも指導しております。

そういった意味でも、生徒さんの受賞は我が事のようにうれしく思います。
と同時に、私自身も新たな釉薬のために意欲的に取り組みたいとあらためて思った次第です。

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■「息吹」 作品の画像をご覧になりたい方へ
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http://373news.com/(南日本新聞社)の記事として紹介されています。
http://373news.com/(南日本新聞社)のTOPページ「右より中央部の下方」にある
「南日本新聞ピックアップ をクリック」  → 「第23回南日本女流美術展  をクリック」 → 「息吹」の作品 → 「作品写真をクリック」
で「作品の拡大写真」を見ることができます。

とてもすばらしい作品です。ぜひご覧下さい。
※なお、このリンクの許可は事前に南日本新聞社より許可を得ております。

【ぐい呑み】【ぐい呑みを持つ掌】冬の雪

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【047】(続)ガラスと釉薬

 先般  色ガラス破片を用いて装飾することを説明しましたが、この技法は平面に利用できても立体には施行しにくいものです。
そこでガラス粉を用いた釉薬として立体にも応用できる釉薬の作り方を説明いたしましょう。


この方法は今までの色ガラス破片を用いるだけでなく、カイラギ釉の基本にもなる釉薬の作り方です。

 先ずガラス破片を粉末にする必要がありそのガラスの粉を長石を準備します。
材料店でガラス粉、ビーズ粉としての商品も販売されていますのでそれを利用してもよいでしょう。

基本となる長石には、ソーダ長石やカリ長石があります。
釜戸長石、対州長石、益田長石などはソーダ長石と呼ばれ貫入釉、カイラギ釉、柚肌釉、虫喰い釉などに用いられます。

 準備した材料を、長石90:ガラス粉10の割合で60メッシュのふるいにかけフノリやCMC、またはデキストリンなどの糊と混ぜ合わせ、中華なべの中で粉がねばりのある状態になるまで幾度も練り合わせます。それを素焼きの試験品に塗ることによって釉薬の硬さが体得できます。

硬くて塗りにくい、また、やわらかくても駄目です。
これを杓がけして乾燥するのを待ちます。
着色したい場合には、色釉を塗ります。上掛釉にも貫入、カイラギ、虫喰い釉、それぞれに相性のいい釉薬があり、それで出来具合が決まります。
 先ずなんどか試験をして、失敗を繰り返しながらも基礎を磨いてください。
これがカイラギ釉を作り出す原点にもなります。




【046】うつわを植木鉢として使う

随分前にも書きましたが 「うつわの用途は固定のものではない。使う人にうつわを大事にする心がありさえすればアイディア次第で、どのように使われても構わない。」と思っています。
 例えば「有が田や」で商品として出している楕円皿を物を食する「皿」として使うか、生け花の花器として使うかはそれぞれ「使う人の感性」でしょう。大事にして頂ければ、それだけで作った立場としてはうれしく思います。

 古くなってしまった場合でも、工夫次第では、また趣きのあるものになります。うつわを植木鉢として使う場合をご紹介しましょう。


0411075 うつわ(抹茶碗)を「やわらかな面(クッションになるもの)」の上に(ここでは赤いふかふかした座布団)に乗せています。



0411076 クッションの上に新聞紙を敷き「十字ドライバー」を「金槌でトントンと軽く」たたきますと意外にも簡単に穴が開きます。
 ※啓蔵作品でいえば「啓蔵」印の押されている部分が開けやすいです。
 ※場合によっては2,3箇所穴を開けるとよいでしょう。
 ※磁器は、かなり難しいのでお勧めしません。



0411077 実際穴を開けた後の抹茶碗の様子(5箇所開けました。)





04110701 あとは通常の要領で、植物を植えます。

実際に寄せ植えをしている写真ですが、直径7cm高さ7cmくらいの小鉢を使っています。
(左手前:ユキノシタ、中央奥:ヤブコウジ、右手前:タマゴケ)


 余談ですが、山野草は「うつわに合わせて成長する」と言われています。
本来、地植えであれば背が高くなりますが、写真の山野草はそれなりにバランスをとって成長しているのがわかるでしょう。不思議にも思いますが、植物の適応能力の高さ、たくましさを感じます。
ささやかなことですが、機会がありましたらぜひお試しください。


【045】美展に思う

 芸術の秋を迎え鹿児島県最大の南日本美術展がいよいよ来月開催されます。
洋画、日本画、工芸(陶・染・彫)の総合美術展です。制作時のこの時期に度重なる台風に見舞われましたが、出品に間に合わせようと教室の皆さんそれぞれに頑張っています。

 焼き物の美しさは造形美・装飾美、それに作る人の工夫された創造性によって表現され、見る側の私たちに一層の感動を与えてくれます。造形美とか装飾美と言っても漠然としていますが、他人と同じ仕事をするとか真似るのではなく、独自の個性を大切にしながらも調和のとれた作品作りをする中から生み出されるもので、この感性は一朝一夕にして出来るものではありません。

到達するまでにはさまざまな苦労と努力を要します。それには日ごろから新しい物を目指したデザイン力を養うことを心がけ、常に新しい作品に触れ、そして出会い、書物や写真等で感動した「人まねではない独自のもの」を自分の中に集めておくことが大事でしょう。
 陶芸を続けておりますと、自然に型・色彩がその人の中に定着してきて他人の作品でも何となく「誰さんの作品」だとわかってきます。その個性を大切にしながらも、時代の進歩と共に私たちも日々前進して新しい作品作りに努力したいものだと考えています。
その努力こそが「感動を伝える源(みなもと)」になるようにも思います。


陶芸家雑感

ありがとう・ありがたやメールマガジンに連載中の「陶芸家雑感」ですが今月分を新しくUPいたしました。
今月の題は「初心者用ガラス貫入釉の使い方
ぜひご覧下さい。

【044】初心者用ガラス貫入釉の使い方

 先般ガラス釉の使い方について記しましたところ、多くの愛好者の皆さんに喜ばれもう少し詳しい説明が欲しいとの要望がありましたので再度作り方の説明をいたします。

〔1〕粘土で皿の板作り(タタラ作り)をします。

〔2〕〔1〕を裏返して両面をきれいにヘラがけ(仕上げ8mm位に)します。

〔3〕下地が出来ましたら紋様を入れます。 描いてもいいし、レースをあてて凹凸をつける、好きな模様をコピーして 乗せ、上から点描写する(1~2mmのけずり模様を出す)、木の葉っぱを置いて叩いて模様を作り出す..  など工夫次第でいろいろできると思います。

〔4〕下準備ができたところで。好みの皿(陶器、プラスチック、ガラスなんでもよい)に乗せて乾かします。大事なことは「底になる面は必ず平面にする」ことです。

〔5〕少し大きめの作品を作りたいと思う時のコツは
   ・たらいの表面に布を張る。(太鼓の皮を張る要領で)
   ・張り方は布をかぶせて、たらいの周りを紐でしっかり結ぶ。
   ・底面となる部分にはベニヤ板等の水平な木片を入れておくと、
    その部分が水平に成形されるので高台などがつけやすくなります。
   ・水平に張った布の上に〔3〕のタタラ板を入れ、軽く押さ形を整えて乾燥させます。
    粘土の重みで、布がたるみ自然な曲面ができるでしょう。


 実際にやってみるとそれほど難しくはありませんが、文章では説明が難しく感じられるかもしれません。わからないこともあるでしょうが、何回か失敗を繰り返している中から自分なりの面白い作品ができると思います。
 
 さて素焼き後、いよいよガラス片を皿に置いていくのですが、その前に作品全体に透明釉か乳濁釉を塗ります。
その後、配置していくガラスに合わせて色のコントラストを考えながら、色釉を塗ります。
透明なガラスを使う場合には、呉須(ごす)細い線を描いてみると綺麗です。いろいろ試してみてください。
ガラス瓶を破砕する時は、紙袋等をかぶせてハンマー等で叩きます。怪我をしないようくれぐれも気をつけてください。
ビール瓶の茶、ウィスキー瓶の緑、焼酎瓶の空、薬品瓶の赤、空、透明のガラスは、色別に空き缶等おに分けておき、使用する場合は必ずピンセットを使います。重ねて怪我のないよう、ご注意ください。

いろいろ試してみてください。皆さんのよい結果をお待ちしています。

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生徒さんの作品です。
陶芸歴は浅いのですが、ガラスをうまく使った作品に意欲的に取り組んでいます。

写真はまだ素焼きの段階ですが、アジサイをモチーフにしている作品で、ガラスの色が混じらないようにするためにたくさんの工夫がされています。



【ぐい呑み】豊土華

【ぐい呑み】豊土華



なによりも土華にも似て、重厚で、趣きとあたたかみのある肌のぐい呑みです。



【043】K老人との出会い

10年ほど前になりますが20~30キロ離れた隣町から50ccのオートバイで当方を尋ねてみえたのがK老人です。
公民館で陶芸を勉強しているが使える釉薬が透明釉と黒色釉の2色しかないので、何とか自分の欲しい釉薬は出来ないものかと「ある場所から掘り出した土石」を持参してわざわざ見えたのです。

 K老人はかなりの年配にも似合わず、釉薬について熱心に質問され探究心旺盛で人の良さそうな感じでした。ですのでこちらも快く話しに乗り
「釉薬は土石だけでは作れないこと」「媒溶剤としての灰を作ることから始まり、
石灰(炭酸カルシウム)、バリウム、亜鉛華硅石、チタン、ベニガラ、酸化マンガン、酸化銅、酸化コバルト等色々な材料が必要だということ」
を説明しました。
その上で、どんな色のどんな釉薬が欲しいのか希望を聞いてこちらで試してみましょうと約束しました。



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さて、K老人の持参された土石2~3種の中には使えない土石もありましたがその中で私がもっとも注目したのが「水打(みずたれ)粘土」(水酸化鉄、又は、がね水とも言う)でした。

長石灰、ワラ灰、水打粘土を同量加えて試作した結果、釉薬が作品を「綺麗な飴色」に焼き上げました。

K老人も大変気に入り喜ばれ、その後、毎月定期的にその水打粘土を運んで来て下さるようになりました。

K老人は地元の土地をよく知っていてその粘土がたくさん出る場所を探せたものと思います。
 

 陶芸をやっている者の常識として敢えて私は水打粘土の出る場所を聞き出すことはいたしませんが、なかなかいい材料です。
その水打粘土を利用して黒、紺、空、柿色の釉薬の作り方、材料の配合方法などK老人に指導したのがきっかけで、その後定期的に持ってきて下さるようになったのです。
私のカイラギ作品の虫喰いなどはこの水打粘土が主原料になっています。

 その土地で見つけ出した材料で誰にも真似のできない、その人その土地ならではの特産品を創り出すのが私の夢なのです。
ひょんなことからのK老人との出会い…今後もお互い大事にしていきたいものです。



【酒器】土華 

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■土華

数年前にインターネットで偶然に『土華』を見つけ、以後啓蔵さんの世界に引き込まれました。

この度、念願の『土華』を手にすることが出来ました。

『土華』を実際に手にすると、その“力強さ”“迫力”“存在感”に圧倒させられます。
釉薬が融合した発色、土が流れたような模様、滴るような形、どれをとってもすばらしく、まさに釉薬が作り出した“芸術”
だと思います。

見る全ての角度において、いろいろな景色が感じられ、作品のほうからも何かを語ってくる様にも思います。
本当にすばらしく、持つことに喜びを感じる酒器(作品)の一つとなりました。

早々、冷酒を注ぎ一杯やりました。
片口酒器の利用は初めてですが、思っていたよりも器が軽く、手にしっくり馴染み、大変気に入っております。
大切に使わせていただきたいと思います。
啓蔵さん、有が田やさん本当にありがとうございます。
また、すばらしい作品を楽しみにしております。

(東京都 Y様)


(店長)土華のご感想をありがとうございました。(土華は、贈答用としてご注文頂くことが多いためなかなかご感想を頂く機会がございませんでした。)
土華は、かなり個性的な作品です。しかも、啓蔵がかなり気合を込めて作ったものですので、もう同じものが出ないかもしれません。それだけに、良さをわかって頂ける方に大切に使って頂けるのは本当にうれしく光栄なことだと感謝しております。

それから、重さについてはこちらにも書いてありますが、啓蔵なりのこだわりがあるのだと思います。
本当にありがとうございました。

【湯のみ】青霞

【湯のみ】青霞


手にとるとしっとりとなじむ感じもします。

釉薬をかけた時も自然の流れにまかせたような豪快さとかんにゅうの繊細さが合わさったような湯のみです。

【042】貫入(かんにゅう)釉とピンピン音

300p1010006期待に胸を躍らせる窯出し。

窯の蓋を開けると熱気が顔に吹きかかってきます。窯の中の作品が生き物のように”ピンピン”と音をたてています。
これは作品が冷たい外気に急に触れ、素地と釉薬の膨張の差が起きて貫入(かんにゅう)が出始めた時の音なのです。
窯出し後も、数日(長いときにはもっと)わたってその貫入音が続きます。初めて経験なさる方はびっくりされることと思います。

 薩摩焼、栗田焼、相馬焼など亀裂がはいっていますが、この亀裂釉、柚子肌釉、カイラギ虫喰い…等、釉薬によって特殊な紋様となります。欠点転じて美点となす、と言ったところでしょうか。

この亀裂、貫入を創り出すのには実は様々の工夫があります。
第一に縮まない土を使用する、第二に釉薬を厚掛けする、ことですが、実際には、私の体験から申し上げると「耐火性が大きく、収縮の少ない素地」「ソーダ長石を釉薬に使用する」という点がポイントになると思います。

 ちなみにカイラギ釉については、私自身も毎回苦労しています。幾度か試験焼を繰り返し確認していても、いざ本番(本焼)では結果は全滅という事もたびたびです。それだけに思い通りに焼けたときには最高の喜びを味わいますが次に「同じ釉薬を同じ条件」で焼成してもうまくいかず失敗する…この繰り返しです。そのたびに何故?原因は?と考え、いろいろと分析をしています。
そしてこれが私の一生涯の研究課題なのだ、とも思っています。

同時に、私の思いを込めた「カイラギ作品」を実際に購入したり使ってくださっているたくさんの方々からの感想は、本当に励みになります。
(いつもFAXで拝見しています。)

最後に今回は「陶芸初心者の方でも楽しめる亀裂釉」をご紹介しましょう。
家庭での使用済みの空ビンのガラス破片を使って皿に装飾を施す手法です。
ビール瓶の「茶」、酒ウィスキー瓶の「緑」「青」、その他の色のガラスを別々に割砕いておき、水平の皿に模様に合わせて置くだけです。
この場合、必ず「乳濁釉」をかけた上にガラスを置きます。
(ただし立体の作品の場合は流れるためにできません。)
1100度で溶けますので、普通の窯の下段でも綺麗に焼けます。一度、試験をしてみてはいかがでしょうか。






【尺皿】漆黒の海

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黒地に白い波しぶきのような豪快なカイラギ。重厚な尺皿です。
料理をのせる皿というよりもできれば「飾り皿」としてお使い頂けたらと思います。
景色の良い大皿を作ってみたい、という思いがありました。 力強い作品にしあがったと思います。

※景色とは:器をみたときの印象。現れた窯変(ようへん)や釉薬(ゆうやく)によって描かれる全体像。




・ 啓蔵が「陶芸家雑感」でこの作品に使われている「ユズ黒釉」ついて記しています。




【酒器】土華

【酒器】土華
側面にぼこっぼこっと穴があいているように見えるところがあるでしょう。これを「虫くい」と言います。

釉薬が共に剥がれて下の胎土があらわになった、まるで虫に食われたような痕です。

これはなかなか出ない、けれども昔から陶器が好きな方にはこよなく愛されてきたものです。



 【酒器】土華 古(いにしえ)の茶人、そして陶器がお好きな方は器の見た目のことを「景色」と呼びます。

単なる「紋様」としてではなく、そこに「芸術」として「風景がひろがるような」イメージをとても大事にしていたからでしょう。

この、土華も、器としての「景色」もすばらしく、味があります。


 【酒器】土華


そして「のぎめ(粘性のある釉薬の流れたあと)」も趣き深いです。

のぎめの下にもきちんと柚子肌があります。
手間をかけて、何層にもいろいろな釉薬がかけられていることがわかると思います。









【039】踏まれても、根強くしのべ道芝の

「踏まれても、根強くしのべ道芝の、やがて花咲く春のくるらん」
こんな詩の一部を昔中学生の頃に覚えた記憶があります。

 今朝、窯出しをしてみて予想外の不出来にがっかりしてしまいました。ためいき混じりに上記の詩を口づさみ自分自身を慰めているところです。
何十年この道一筋に自分の求めている釉薬作りを目指していてもこの様に失敗の繰り返しです。
試験焼きには満足するもののいざ本番となるとなかなか思い通りにいかないものです。これでもかこれでもかと挑戦しているというのに。

けれども「好きこそものの上手なれ」と、すぐに「その過程を楽しむ」ように気持ちを切り換えるようにしています。「飽きもせず夢中になれること」があるのは、大変ですが逆に幸せなことかもしれません。
冷静に今回の失敗の原因を手繰ってみるとやはりありました。

バケツの中の釉薬の量が少なかったために、同じような配合の別の釉薬を追加で混ぜ合わせたことです。ちょっと考えただけでは信じられない微妙な加減が影響するのですね。
年末を控え、早くいい作品を仕上げたいと焦る気持ちがそういう結果を招いたのかもしれません。

釉薬は本当に面白いもので奥が深いと感じます。それだけに魅力的でもあります。
今回不出来だったとしても何回も配合を変えて「いつかきっといいもの」
を作り出してみせる。これからも試行錯誤をくりかえしながら、頑張りたいと思っています。

【037】 「ユズ黒釉」と「ブルーの釉」

 寒い冬は作陶する人にとって水が冷たくいやですが、また同じくこの夏の暑さもいやなものですね。

 今朝は偶然午前2時に目が覚めましたので真夜中に仕事を始めましたが、朝の6時ごろまでに平常の1日分の仕事が効率よく出来ました。
静寂な仕事場での作業はちょっと寂しい気分にもなりますが、昼間の暑さから解放され涼しさの中で仕事に集中できることが何よりです。暑い時期は無理をしないで夜行性動物になることも必要かなーと思いました。

 作陶(物作り)というのは「集中力」がないとなかなかいい作品ができません。雑念を払拭してロクロに向かい手を動かすことが肝要です。今朝の真夜中の作業はそういった意味でもそれなりの成果が得られたような気がします。


直径が約30cmの大皿
 

現在、できあがり直径が約30cmの大皿を作陶しています。

かける釉薬は今回考え出した「ユズ黒釉」に「ブルーの釉」の深い味わいのコントラストに仕上げたいと頭の中でその焼き上がりを思い描いています。
「ユズ黒釉」というのは、見た目には表面がざらざらに見えますが、実際は肌触りがとても滑らかで格調高い釉薬のひとつです。

またカイラギ釉と同系統のもので、材料は鹿児島県に産するものを使います。
作陶にあたっては、できるだけ地元の資源を活用して今後もいい作品を目指していきたいと思っています。


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「かごしま県民交流センター」2Fロビーに啓蔵作品の「壷」が展示されています。


【036】シラスと釉薬

シラス 釉薬  火山の噴出物が数千年にわたり風化したのがシラスで鹿児島県の半分はそのシラスによって覆われています。

無尽蔵の火山噴出物を利用していろいろな物が作り出され未利用資源が次々と新しい商品に生まれ変わりつつあります。
特にシラスに含まれるシラスバルーン物質が研磨剤として広く使われ油よごれの磨き粉から日本が誇る光学レンズの研磨まで一役買っているのです。
そればかりか水に浮くセメント製品建築用の外装-塗料 人工宝石等々….研究が進んで陶芸でも釉薬を作るのにシラスを利用しております。
カイラギ、ユズ肌釉は勿論のことどんな色釉でも作り出せます。比重が軽くキメが細かくシラス単品でも釉薬に利用でき使い易いのが何よりです。

一例をあげますと
乳濁釉は 「長石30+土灰30+ワラ灰40」 が基本ですが 
シラス乳濁釉は 「シラス30+土灰20+ワラ灰40+骨灰10」 が良好です。

何故骨灰を入れるかというと、シラスの中に微量の黒浜(砂鉄)が入っているのでそのまま焼くと(1240度~1250度)黄味を帯びますが骨灰を入れることによってピンク色に発色させることができます。(ツヤ有り)

ツヤ消し釉の場合は 「シラス30+土灰30+カオリン30+硅石10」 で良いのですがより白く乳濁させたい場合には「亜鉛華」または「ジルコンチタン」などを4%くらい入れます。

溶材として「バリューム」「マグネシア」「亜鉛華」「石灰」等を変えることで発色が違ってきます。
釉薬の研究で試作品を作って比較しながら良いものを見つけ出している試行錯誤の毎日です。大変な作業ではありますが、新しい発見をするために没頭することは、充実した時間でもあります。
現在、めずらしい釉、カイラギ、虫喰い、ユズ肌等、納得できるサンプルは30種類ほどになりました。いつかこの釉薬を使った作品を発表したいと考えております。

乳濁釉虫喰い


【034】ある生徒のお話

 Yさんは私の陶芸教室に車で1時間40分もかけて通ってくる女性です。
毎週水曜日と土曜日の午前9時から夕方5時まで1回も欠かすことなく通ってもう2年近くになります。
冬は寒くて大変でしょう、との問いに「車の中は暖房がきいているし、きょうも1日がんばるぞ、とカラオケテープに合わせて歌っている間に、いつの間にか着いている。」と全然苦にならないようです。
現在ご主人と二人暮らしで、陶芸窯やその他道具一式も揃えているのですが年4,5回開催される陶芸展出品用の大型作品の創作、釉薬の勉強、をしたいとの理由でわざわざ指導を受けにきています。

 Yさんが当教室に見えるようになって指導する側の私も教えられることが多くなりました。
それはご本人が草月流の華道を学んでいるからでしょうか、一般的な作品ではなく「自分の表現したい」という思いを込めた総じて変形のつぼの発想がおもしろいのです。
ただし大型作品になりますとどうしても重力が加わり、デザインと同時に作品自体の重量バランスをとるのがが大変難しくなります。従って私にとっても(デザインを生かしつつ)「形をいかに整えるか」ということを研究するいい勉強になる、と感じています。

 Yさんをはじめ大型作品を制作する生徒にいつも厳しく指導していることを何点かお教えしましょう。

● 粘土の厚さは10~12mmに削ること
 大型で厚みがあると、重すぎて釉かけ後の窯詰め等が困難になり結果的に思ったような作品が焼けなくなります。
 そのために、仕上がりの厚みを12mm以下にすることを厳しく言っております。
 ※手にする器は「軽くしあげること」これは鉄則だと思います。
 例えば「抹茶碗」であれば、350g以下にすることと指導しています。
 それでは、どうすれば12mm以下の厚さにできるか?
 私は「針を割り箸に10mmや12mm分突起させ接着した」オリジナルの道具を作っております。
 それを実際作った作品の側面から突き刺します。
 つまりそれで「裏側から指先に針先がちょうど触れる」厚さが10mmや12mmとなる訳です。
 生徒によっては穴があくことを心配する人もいますが、素焼き後釉薬をかければ穴は埋まってしまいます。

● 日ごろから、表面の装飾を施すための紋様のアイディアを考えておくこと

● 自分の作品にかけた釉薬の種類、その時の焼き上がりの「出来、不出来」をきちんと記録すること
 
● 釉薬の作り方をしっかり頭に入れて覚えこむ努力をすること
 私が教えた釉薬の分量は、いちいちノートを見ないで、頭にたたきこむ努力をして欲しいと思います。
それこそカラオケを覚えるような感覚で日々そらんじていれば、自然に覚えるでしょう。
「伝統をふまえ新しい感覚の美しい作品をつくる」それが私の理想です。
そのために、陶芸教室では厳しいことも言いながら指導しています。
けれども、いつか陶芸展で大賞の授かることを夢見ながら、これからも頑張って熱心に勉強して欲しいと思っています。








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