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「 カイラギ 」 に関する記事一覧


【018】カイラギ釉について

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(前回に引き続き、カイラギ釉について)
 新しい釉薬を作るには、自分の研究意欲を持ちつづけるだけでなく、努力や手間を惜しまないことだと思っています。また同時に、私を支えて協力してくれる、家族、友人、知人のおかげだと感謝しております。
 
 私は地元のさまざまな土石(珪藻土)を捜し求めて「カイラギ釉」の研究を続けております。それは自然の恵みを受けられる地方だからこそできることなのかもしれません。
 とは言うものの、原料の土石(珪藻土:けいそうど)を探し出した後、険しい山の斜面を登り下りして掘り出し、しかもそれを担いで車のある場所まで運んでくるのも一苦労です。
しかも、採集した土石を粉砕して、さらに何度も篩(ふるい)をかけて釉薬を精製していくまでの間に原料は半減してしまいます。
また、せっかく作ったバケツ一杯の釉薬を丸ごと捨てることも往往にしてあります。このように難儀して作った釉薬がいつもうまくできるとは限りません。日々、失敗とやり直しの繰り返しの毎日なのです。

 けれども
「カイラギを作りたい。2001年までに完成させたい。」
という思いや目標が、私を支えてくれたような気がします。
現在、5,6種類の「カイラギ釉」ができ、ほぼ確実に「カイラギ」を再現できるまでになってきました。
今後も研究を重ね現在の釉を基本にして、あと5,6種類くらい「変わったカイラギ釉」を生み出すことが次の目標であり夢です。
 ここ鹿児島県の古い窯元には、天目・ソバ釉・柿釉・アメ釉・イラホ・黒釉・ドンコ・ダカツ釉・・といった特殊なすばらしい釉薬があります。
けれども私は、まだ誰も手がけていない「カイラギ釉」にこだわり、作り出し続けたいと思っています。

【017】カイラギ抹茶茶碗

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カイラギとは「梅華皮」とも書き、釉のちぢれのことをこう呼びます。
ホームページでも説明してありますが、収縮しにくい粘土を使い、それで素焼きしたあとに、一番収縮しやすい釉薬を使って1250度で焼き、両者の収縮度の違いを利用してこまかい「ひび割れ」が出たもののことを言います。


 カイラギに使う釉薬は、当地で産出される珪藻土を主原料にして、単味(一種類の意味)または二種類以上を混ぜ合わせて作り、発色させるのですが、これを確実に再現するために、これまでさまざまな研究をしてきました。
 山頂から海辺までいろいろな場所にある珪藻土を掘り出してシラスと混合して実験してみると、面白いことに、産出する場所の違い、また、土をふるいわける時の「篩(ふるい)」のメッシュ(目の粗さ、細かさ)によっても、大きく発色が変化することを発見しました。

 また、窯の中に置く位置(つまり温度差)によって、釉薬の「縮れ」や「はがれ」に大きく影響する事も、数年来の実験から発見したことです。
山の上から採取した土は窯の上部、海辺の土は下部に置いた方が、結果がよいようです。
 このように少しずつながら、細かい積み重ねによって、序序にわかってくることが多くこれからますます実験の繰り返しが面白くなるような気がします。
 新しい時代、私なりの研究・実験、そして創作・作陶を意欲的に続け『大事に持っていたい器』を生み出していくのが目標です。そしてそこに喜びや生きがいを見つけ「生涯現役」の日々を過ごしたいと思います。

【012】質問にお答して

【ご質問】
ひとつお聞きしたいのですが、私は以前から朱色のカイラギはないのだろうか?
炭が焼けていくと表面が白く中が朱色にゆらぐ、あの心が安らぎホットする表情をもつ器にめぐりあいたと、常々思いつづけております。
朱色のカイラギというのはできるのでしょうか?
もし朱色のカイラギがございましたら、紹介いただけないでしょうか。

…………………………………………….

【萩原啓蔵から】

 日本で天下一の名碗と評価されているのが、国宝の喜左ヱ門井戸茶碗と云われています。
昔、朝鮮半島からもたらされた、この茶碗は「高麗茶碗」として、茶人にもてはやされたもので、特に、枇杷色(びわいろ)のくすんだ渋い色感の貫入(カンニュウ・ひびのこと)と、高台まわりの梅華皮(カイラギ)が水玉のように飛び散った凄みのある美しさがあふれています。
 さてご質問の朱色の梅華皮(カイラギ)ですが、天下一といわれている茶碗でさえも、上記のように渋い色しか出せないのが現状です。
これは、原料が土石であるために、明るい色が出し難いのです。例えば真っ赤な土であっても、茶色にしか出ません。発色としては、このように白、黒、茶、灰色、灰黄色程度までです。
 
 逆に白い色の梅華皮(カイラギ)が出る土石に、上から朱色釉をかけてしまうと今度は梅華皮(カイラギ)そのものが出なくなります。
と言うことで、朱色の梅華皮(カイラギ)というのは不可能と思います。
 しかしながら私としても、地元の土石を使っての研究を今後も続けてさまざまな表情を持つ梅華皮(カイラギ)を産みだしていきたいと思っております。

【004】釉薬の追求と失敗

新しい釉薬を研究する中には当然失敗もある。今回がそうだった・・。
前回採取してきた同じ岩を粉砕して釉薬を作ったものの、窯出しをしてみると、内側が「釉はがれ」(釉薬がめくれあがってはげてしまうこと)になってしまっている。

同じ場所で採取しても岩石成分が微妙に違うことや、岩石の洗浄が十分でなく塩分が残ったままであったこと、そしてまたここ1週間ほど寒い日 が続いために、「厚がけ」をした釉薬が完全に乾いていなかったこと・・ 
などが原因のひとつとして考えられる。



私の求めている「カイラギ」とは、美しい「ちぢれ」のことである。
それは「収縮しにくい粘土」を使い形を作り、素焼きしたあとに今度は「収縮しやすい釉薬」を使って1250度で焼く。
「カイラギ」は両者の収縮度の違いによって生まれる。ただし、この自然の美しさを確実に実現するのは、かなり難しい。・・・だからこそ 貴重なものといえるのかも しれないが。



失敗作は、私にとっては失敗作である。
生徒たちは「これも味があっていい。」と言うが、カイラギの追求と言う意味では、私自身が納得ができるまで、試行錯誤の繰り返しのような気がする。また自分自身の内面を振り返れば
「2000年度の新作をはやく発表したい。確実なものにしたい。」
というあせりもあったのではないかとも思う。
 
 『神は愛する者のみ試練を与える。人を相手にせず、天を相手にする。』
 この言葉をかみしめながらまた挑戦したいと思っている私である。







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