先日
「木の灰の釉薬と岩石の釉薬の違いはなんですか?」
というご質問を頂きました。今回はそれについて少し説明をしてみたいと思います。


木の灰から作った釉薬を「木灰釉(もくはいゆう)」、岩石を採取して作った釉薬を「土石釉(どせきゆう)」もしくは「岩石釉(がんせきゆう )」と呼んでいる。

木灰釉」は、日用食器などの、どちらかというと艶があり、手触りがつるつるした感触が好まれる器に主に使われる。
一般的には、長石70、木灰30の割合で配合したものが透明釉と言われ、それに、ベニガラ(酸化鉄)やコバルト、二酸化マンガン、銅などを少量加えることによって、いろいろな「色釉」をつくることができる。



一方、「土石釉」は「しぶいしっとりとした」釉調を出す場合に使う。
代表的なものとしては、柿釉、黒釉、イラホ釉などがある。

名前からすると「土石釉」というのは、ごつごつした石や岩のイメージがあるが、実際には採取してきた岩を細かくつぶし粉状にした後『石臼』でひき、更に60メッシュの『ふるい』でこして、その上更に100メッシュの『ふるい』をかける。そして最終的には、手でさわると、どろどろとした状態にまでになっている。

自然の土や岩石の中には、石灰、バリューム、マグネシウム、また鉄分が含まれている。その含まれている岩石成分の違いによって、焼き上げた時に、いろいろな変化をもたらすというわけである。採取した場所によって含有物が異なるために発色や出来上がりの雰囲気が違ってくる。



私はこの不思議な釉薬の魅力にとりつかれ、いろいろな場所の土や岩石を採取しては、どんな窯変を起こすかを調べたり、釉薬同士を調合して新しい釉薬を作り出す研究を続けてきた。そしてそれこそが、私の生きがいでもあり楽しみにもなっている。
釉薬を分析したり調合したりして、いつかは100種類以上の「オリジナルの釉薬」を作ってみたいと思っている。研究してきた釉薬の内容(料理で言えばレシピにあたるもの)と実際その釉薬を使ってできた作品とを併せて編集して、本にして残したい・・それが私の将来の夢である。

                     



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