【018】カイラギ釉について
(前回に引き続き、カイラギ釉について)
新しい釉薬を作るには、自分の研究意欲を持ちつづけるだけでなく、努力や手間を惜しまないことだと思っています。また同時に、私を支えて協力してくれる、家族、友人、知人のおかげだと感謝しております。
私は地元のさまざまな土石(珪藻土)を捜し求めて「カイラギ釉」の研究を続けております。それは自然の恵みを受けられる地方だからこそできることなのかもしれません。
とは言うものの、原料の土石(珪藻土:けいそうど)を探し出した後、険しい山の斜面を登り下りして掘り出し、しかもそれを担いで車のある場所まで運んでくるのも一苦労です。
しかも、採集した土石を粉砕して、さらに何度も篩(ふるい)をかけて釉薬を精製していくまでの間に原料は半減してしまいます。
また、せっかく作ったバケツ一杯の釉薬を丸ごと捨てることも往往にしてあります。このように難儀して作った釉薬がいつもうまくできるとは限りません。日々、失敗とやり直しの繰り返しの毎日なのです。
けれども
「カイラギを作りたい。2001年までに完成させたい。」
という思いや目標が、私を支えてくれたような気がします。
現在、5,6種類の「カイラギ釉」ができ、ほぼ確実に「カイラギ」を再現できるまでになってきました。
今後も研究を重ね現在の釉を基本にして、あと5,6種類くらい「変わったカイラギ釉」を生み出すことが次の目標であり夢です。
ここ鹿児島県の古い窯元には、天目・ソバ釉・柿釉・アメ釉・イラホ・黒釉・ドンコ・ダカツ釉・・といった特殊なすばらしい釉薬があります。
けれども私は、まだ誰も手がけていない「カイラギ釉」にこだわり、作り出し続けたいと思っています。