【035】 若葉の季節に..緑釉
(深緑色の楕円皿)
さわやかな若葉の季節となりました。
今回はそんな季節に合わせて緑釉について記したいと思います。
焼き物の釉薬は絵の具のように簡単に思い通りには発色しません。
先ず、土の問題。
例えば赤土の上に直接釉薬をかけてもなかなかきれいな発色はしません。
その場合は
「化粧泥の白 (*1) 」か「うすい黄色の泥」
を塗って素焼きをするか、または素焼きの後に
「黄瀬戸の下塗り (*2) 」をして、上塗りに「緑の釉薬 (*3) 」を塗る方法をお勧めします。
【化粧泥の作り方】 (*1)
白絵土 33
ガイロメ 33
ローセキ 33
(上記は同量という意味)
【黄瀬戸の下塗りの作り方】 (*2)
カマド長石 50
合成土灰 40
カオリン 7
黄土 3
緑の釉薬にも、ツヤ緑釉、マット緑釉(ツヤ消し)、条紋緑釉(*4)、結晶釉、濃緑、黄緑といろいろな種類があります。また、本焼きをする窯の種類(例えばガス窯、灯油窯、電気窯)によっても、窯の中の位置(置き場所)によっても微妙に発色の変化が見られます。
本格的に研究をしたいと思う場合、あらゆる方法で実験して失敗を繰り返し、その結果自分なりの釉薬を作り出すことが大切だと思います。
ご参考までに代表的な緑釉 (*3)をご紹介します。
【織部緑A】
福島長石 40
石灰 27
焼きタルク 5
骨灰 3
カオリン 10
硅石 10
酸化銅 5
【織部緑B】
福島長石 10
石灰 30
バリューム 3
焼きタルク 2
カオリン 30
硅石 20
酸化銅 5
【其の他条紋釉】 (*4)
樫灰 45
バリューム 45
酸化銅 10
※条紋釉
・厚塗りの方がきれいに流れる。
・作品の肩(壷などの側面にあたる部分)辺りが45度程度の丸面だと、
丁度綺麗な流紋を作ることができる。
・樫灰の様に天然灰はなかなか入手しにくいので自分なりに開発研究すること
によって同様の波紋が出来る。
・釉薬を作る場合には、固まらないように必ず「120目の金網」で濾してから使う。