【052】夏の陶芸のコツ 陶芸家雑感 : 陶芸家 萩原啓蔵 陶芸エッセイ
先日、陶芸を始めて間もない方から、質問がありましたので「夏の陶芸」で気をつけることなどを簡単に書いてみたいと思います。
夏の陶芸は、作陶中に粘土の乾燥を防ぐ工夫をする、ことが先ず大事です。
そのためには、
・作陶する部屋はクーラーはお勧めしません。
扇風機などを直接粘土に当てないようにしながら作業をしましょう。
・手元に霧吹きのようなものを準備し、粘土をいつも適度に湿らせる。また塗れた雑巾などをかぶせておく。
・粘土は、使う分だけをこまめに取り出し、すぐには使わない分はビニールに入れておく。
・粘土が固くなってしまった場合には、固まりを細切りにして(小分けして)水分を補充した上でまるめ、
一晩寝かせると使いやすくなります。
・成形後は、風にあてないようにしてタオルなどの布をかぶせ1日程度乾燥させ、 その後、タオルや布をはずしてさらに日陰で2,3日乾燥させます。
これは作品を均等に乾燥させるためです。 (口元の部分から先に乾燥してしまうので)
素焼き直前(窯に入れる1日前くらい)に、今度はひっくりかえして直射日光などで乾燥させます。
特に高台部分をよく乾燥させるように意識します。
・じゅうぶんに乾かす、ということが必要ですが、なによりも形を作る際に「薄く」作ることを心がけてください。
目安の厚さとしては
食器 :4mm~5mm
花器 :7mm~8mm
大型作品:12mm~13mm
初心者は、ついつい厚く作りがちですが、厚みがあればあるほど「内側の乾燥」 が難しくなり、 焼成の際のひび割れの元となります。
暑い中での作陶作業は大変でしょう。また陶芸を始めてしばらくは粘土の扱い慣れないでしょうし、いろいろと失敗もあるとは思いますが、ぜひがんばってください。上達の秘訣は「できれば毎日、それが難しい場合でもなるべくたくさんの時間」「継続的に粘土に触れる、作陶のために指先を使う」ことです。
私の陶芸教室に通う生徒さんたちも、暑い中、非常に熱心に作陶しています。
そのがんばる姿は、私自身への活力源にもなっています。
(追伸)
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